コロナで予備費8兆2000億円余支出 事業ごとの額公表を 検査院

新型コロナの感染対策として計上された国の予算のうち、国会の承認を得ずに使いみちを決められる予備費について、会計検査院が調査した結果、2021年度は50事業に8兆2000億円余りが支出されたことがわかりました。
会計検査院は、使われ方がわかりにくい状況にあるとして、事業ごとの額や執行状況などを公表するよう政府に求めています。

新型コロナの感染対策では、国会の承認を得ずに使いみちを決められる予備費が計上され、国会が会計検査院に対し、2021年度の使用状況について調査を要請していました。

その結果、2021年度に、コロナ対策に充てられた予備費は、7つの府省などの50事業、合わせて9兆4149億円で、支出の総額は8兆2335億円でした。

支出の内訳をみると、
▽営業時間の短縮などの協力要請のための事業が、3兆965億円と最も多く、
▽ワクチン確保の事業に必要な経費に、1兆6085億円などとなっていました。

コロナ対策予備費に関して、詳しい支出の内訳が明らかになるのは初めてで、省庁などが作成した事業別の管理簿などからは、目的外の支出がされないよう管理されていたとしています。

一方、本来は年度内の執行が前提のところ、年度末に翌年度までかかる形で見積もりをし、全額繰り越されていたケースが、内閣府と厚生労働省の4つの事業で確認され、その理由や経緯は、判然としなかったということです。

会計検査院は、国民の理解が得られるよう、透明性の確保と説明責任の向上が重要だとして、特定の目的のための予備費については、
▽事業ごとに予備費を使用した額や、使われ方を公表すること、
▽翌年度に多額の繰り越しを行った場合は、その経緯を丁寧に説明することなどを政府に要請しています。

予備費 何に使った?

会計検査院の報告書では、2021年度に支出された予備費の金額の詳細が記載されています。

50の事業のうち、最も多くの予備費が支出されていたのは、
▽内閣府の事業で、総務省が執行した新型コロナ対策のための「地方創生臨時交付金」のうち、営業時間の短縮などの協力要請に必要な経費の3兆965億円で、予備費の支出総額の4割近くを占めました。

また、厚生労働省が行った
▽コロナワクチンの確保に必要な事業の経費として1兆6085億円
▽治療薬の確保などに必要な事業の経費として4246億円の、
予備費が充てられ、全額支出されました。

一方、
▽国土交通省が実施した「Go To トラベル事業」に関しては、1兆1424億円の予算のうち、3119億円の予備費が充てられましたが、予備費の支出は行われず、全額が「不用」とされました。