勾留後起訴取り消し 国と都に賠償求める裁判 12月27日に判決へ

不正輸出の疑いで逮捕されて1年間近く勾留されたあと、異例の起訴取り消しとなった会社の社長などが、国と東京都に5億円余りの賠償を求めている裁判は、15日で審理が終わり、判決が12月27日に言い渡されることになりました。

横浜市の化学機械メーカー「大川原化工機」の大川原正明 社長など幹部3人は3年前、生物兵器の製造などに使われるおそれがあるとして輸出が規制されている機器を不正に輸出した疑いで逮捕・起訴されましたが、その後、規制の対象にあたらない可能性があることがわかり、初公判の直前に起訴が取り消されました。

大川原社長などは「不当な捜査で苦痛を受け、会社も損害をこうむった」として国と東京都に5億円余りの賠償を求めています。

15日に開かれた裁判では、それぞれが主張をまとめた書類を提出して審理が終わり、東京地方裁判所は12月27日に判決を言い渡すことを決めました。

これまでの裁判で国や都は「違法な捜査はなかった」と主張していますが、警視庁で当時捜査を担当した警察官は事件について「まあ、ねつ造ですね」と証言しました。

一方、担当した検察官は「起訴すべきと判断したことは間違っていないと思うので、謝罪の気持ちはない」と述べました。

逮捕された3人のうち、大川原社長など2人は1年近く勾留され、会社の顧問だった相嶋靜夫さんは勾留中にがんが見つかり、起訴取り消しの前に亡くなりました。

大川原社長は裁判のあと「ねつ造と証言した警察官は、勇気を持って話してくれたと思う。警察や検察が間違った捜査だったと素直に認めて謝るよう、裁判長から判決で言ってほしい」と話していました。