ラグビーW杯 日本×イングランド 伝統のキック警戒 名手そろう

ラグビーワールドカップフランス大会、日本代表は日本時間の9月18日午前4時から1次リーグ第2戦でイングランド代表と対戦します。

今月11日付けの世界ランキングで日本は14位、イングランドは6位と格上にあたります。

そして日本はイングランド代表と過去10回対戦し、1度も勝ったことがない相手です。

前回大会を上回るベスト4以上を目指す日本、1次リーグ突破を左右する大一番となります。

キックの名手そろうイングランド【ジョージ・フォード】

イングランドの代名詞と言えば『キック』。

日本が警戒すべきキックの名手がそろっています。

まず1人目が初戦のアルゼンチン戦、キックでチームを勝利に導いたスタンドオフの30歳、ジョージ・フォード選手です。

鮮やかなドロップゴールなど正確無比なキックでチームの全得点、27得点をたたき出しました。

ジョージ・フォード選手

フォード選手は前回の日本大会、キャプテンのオーウェン・ファレル選手とともにダブル司令塔としてチームをけん引し、イングランドを準優勝に導きました。

その後、チームは世代交代をはかり、ここ数年、フォード選手は代表に招集されていませんでしたが、今大会、豊富な経験を買われてメンバー入りを果たしました。

左:オーウェン・ファレル選手 右:ジョージ・フォード選手(2019年)

当初、控えとしての起用が予想されていましたが、8月のテストマッチで、ファレル選手が危険なタックルによって退場処分となり、ワールドカップの最初の2試合の欠場が決まると、フォード選手は初戦の先発に抜てきされました。

そして、前半だけで3本のドロップゴールを決め、試合開始早々に退場者を出し、不利な状況となったチームを救いました。

アルゼンチン戦でドロップゴールを決めるフォード選手

この試合、データを見ても、イングランドのキックの有効性が際立ちました。

キックの回数はアルゼンチンの21回に対し、イングランドは倍以上の43回。

キックによって稼いだ距離もアルゼンチンの852メートルに対し、イングランドは1074メートル。

キックで距離を稼ぎ、一気に攻め入る伝統の戦術が光りました。

もう一人のキックの名手【ベン・ヤングス】

アルゼンチン戦には出場しなかったものの、もう1人、キックの名手として知られるのが、スクラムハーフのベン・ヤングス選手です。

ベン・ヤングス選手

34歳のベテランのヤングス選手は、ワールドカップには4大会連続出場、イングランド代表のキャップ数は歴代最多の124を数えます。

ヤングス選手の特徴は高い弾道のキックを蹴るのがうまいことに加え、相手の守備の裏をつくキックで試合の流れを一変させることができます。

ハイパントを蹴るヤングス選手

この『ハイパント』と呼ばれる高い弾道のキック、その処理を苦手としているのが日本なのです。

去年11月のイングランドとのテストマッチで、13対52の大敗を喫した際には『ハイパント』の処理でミスが相次ぎ、弱点を露呈してしまったのです。

日本戦でもキック活用をコーチが明言

ここ数日の練習では、日本対策を十分に行ったというイングランド。

攻撃担当のコーチもキックを活用することを明言しています。

攻撃担当のリチャード・ウィグルスワース コーチ

攻撃担当のリチャード・ウィグルスワース コーチ
「日本のバックフィールド(日本陣地の後ろ側)をキックで攻撃したい。われわれにはワールドクラスのキッカーがいるのでそのエリアでアドバンテージを得たい」

日本はイングランドの伝統の『キック』にどう立ち向かうのか、その対策は1次リーグ突破を左右する大一番の鍵となります。