訪問介護事業者の倒産件数 8月までで過去最多の44件

ことし1月から8月までの訪問介護事業者の倒産件数が、44件とこの時期としては過去最多となったことが信用調査会社のまとめでわかりました。信用調査会社は、ヘルパーの人手不足などが影響していると分析していて、「サービスを受けられない利用者が増えるおそれがあり対策が急務だ」と指摘しています。

東京商工リサーチによりますと、ことし1月から8月までの訪問介護事業者の倒産件数は全国で44件でした。

同じ時期としては、コロナ禍で倒産が増えた3年前の42件を上回り、調査開始以降で最多となりました。

ヘルパーの人手不足や、燃料費や介護用品など物価高騰の影響が要因だとしていて、年間の倒産件数でも、最多の58件となった4年前を上回る可能性もあるとしています。

訪問介護をめぐっては、コロナ禍前からヘルパーの人手不足が課題となっていて、昨年度の有効求人倍率は15.5倍と過去最高になったほか、65歳以上のヘルパーが4人に1人と高齢化も進んでいます。

また、介護報酬が主な収入源のため、物価高騰への対応や利用料への転嫁が難しいことも指摘されています。

東京商工リサーチ情報部の後藤賢治課長は「訪問介護をするには資格が必要なうえ、1人で自宅を訪問するプレッシャーや苦労も、人手不足に影響しているとみられる。今後も需要が高まる中で、サービスを受けられない利用者が増えるおそれがあり、対策が急務で、まずは2024年度の介護報酬改定が焦点になる」と指摘しています。