記録的大雨から1週間「養老渓谷」温泉街 営業再開も復旧半ば

千葉県や茨城県の太平洋側を中心に降った記録的な大雨から、15日で1週間になります。千葉県の市原市と大多喜町にまたがる「養老渓谷」の温泉街では、秋の観光シーズンを前に営業を再開する旅館も出てきていますが、復旧半ばの所もあり、影響が続いています。

「養老渓谷」は千葉県内有数の観光地で、紅葉のなかでの滝巡りなど、秋が観光シーズンとなっています。

しかし、今回の記録的な大雨では浸水や土砂災害が相次ぎ、川沿いの遊歩道では崩落などの被害があり、通行止めが続いています。

また、合わせて9軒ある宿泊施設のうち7軒に浸水などの被害がありましたが、一部の施設は営業を再開しています。

復旧できた旅館・3連休満室で今後に期待

このうち、川沿いの旅館は近くの水路から水があふれ1階の台所などが床上まで水につかったほか、温泉をボイラーに送るモーターなどの設備が壊れるなどの被害を受けました。

従業員や親戚の助けを得ながら館内に入った泥水をかき出し、予備の温泉のモーターを自力で取り替えるなどして、今月11日に営業を再開しました。

今週末からの3連休はすでに予約で満室だということです。

旅館「嵯峨和」を営む佐川郁夫さんは「地域全体で被害を受けましたが皆さんの気持ちがあれば必ずよくなると信じています。頑張ってやっていこうと思います」と話していました。

被害大きく再開の見通し立たないところも

一方、宿泊施設の中には、被害が大きく、営業を再開する見通しが立っていないところもあります。

氾濫した養老川に近い旅館では、台所や事務所などがある1階が1メートル50センチほど水につかり、冷蔵庫のほか宿泊予約を管理しているパソコンなど多くの機材が壊れました。

地域の人たちに手伝ってもらいながら、14日までに使えなくなった機材などの撤去は終えました。

しかし、床下に泥が流れ込むなど被害が大きく、14日も20人ほどで重機やスコップを使い、旅館の裏にたまった土砂を取り除く作業が続けられていました。

営業を再開できるめどは今のところ立っていないということです。

旅館「喜代元」を営む秋葉保雄さんは「泥が入ってきた時には廃業も頭をよぎりましたが、この1週間、皆さんの力添えももらって少し気持ちが前向きになっています」と話していました。

また、秋葉さんは地域の養老渓谷観光協会の会長も務めていて「災害がまた来るのではという不安もあります。川の護岸の高さを上げるなど、国や県、市で対策を取って、私たちの背中を押していただきたい」とも話していました。

被害の7軒のうち4軒は再開めど立たず

養老渓谷観光協会によりますと、被害を受けた7軒のうち3軒はこれまでに営業が再開できたものの、4軒については再開できておらず、めども立っていないということです。

復旧に多額の費用がかかる施設もあるため、観光協会はクラウドファンディングで資金を集めることも検討していて、今後、市原市や大多喜町と協議する方針です。

養老渓谷観光協会の秋葉保雄会長は「養老渓谷のファンの皆さんから支援の声を頂けるのであれば、ぜひそれをみんなで分かち合って前向きに復興を考えていきたいと思います。復興は1年後や2年後かもしれず、長い道のりになりますが、養老渓谷がよくなったと言われるようにしていきたい」と話していました。