「オスロ合意」30年 和平交渉は停滞 暴力の応酬が激化

中東イスラエルとパレスチナの二国家共存への道を開いた歴史的な「オスロ合意」が結ばれてから13日で30年です。その後、和平交渉は停滞しているだけでなく、ことしに入り双方による暴力の応酬が激化していて、国際社会による仲介努力がいっそう求められています。

30年前の1993年9月13日、イスラエルとパレスチナが結んだ「オスロ合意」はイスラエル軍が占領地のヨルダン川西岸やガザ地区から撤退し、パレスチナ側が暫定的な自治を始めることで合意したもので、二国家共存を目指した中東和平交渉に道を開きました。

しかしその後、パレスチナではイスラム組織ハマスが台頭し、自爆テロを繰り返したのに対し、イスラエルも空爆や軍事侵攻などをたびたび行って対立が深まり、交渉は2014年を最後に途絶えています。

和平交渉が停滞する中、双方による暴力の応酬はことしに入って激化していて、7月には、イスラエル軍がヨルダン川西岸地区で大規模な軍事作戦を行い、多数の死傷者が出ました。

国連によりますと、ことしに入ってからパレスチナ人は200人以上、イスラエル人もおよそ30人が死亡していて、ヨルダン川西岸地区では2005年以降で最悪の水準になっています。

イスラエルでは去年、ネタニヤフ首相が率いるこれまでで最もパレスチナに対して強硬な政権が成立し、状況が悪化する中、国際社会による仲介努力がいっそう求められています。

中東専門家“日本も仲介の努力に加え 支援を継続すべき”

中東和平問題に詳しい防衛大学校の江崎智絵准教授は「イスラエルにとっては和平交渉に向かうこと自体が議題にすらなりにくいだろう。アメリカによる働きかけに加え、サウジアラビアとイスラエルの関係正常化に向けた動きなど、地域的な和平の枠組みとパレスチナの和平交渉を連動させるというアラブ諸国の支援も必要だ」と関係国による関与が欠かせないとしています。

また「日本は70年にわたってパレスチナ支援を続けている。日本が支援をやめることはない、決して見捨てることはないと国際社会のなかで姿勢を示すことはパレスチナ人の当事者にも諦めムードがあるなかで、心強いことだと思う」と述べ、日本としても仲介の努力に加えてパレスチナへの支援を継続すべきだと話していました。