濱口監督 ベネチア国際映画祭「審査員大賞」受賞の喜び語る

世界3大映画祭の1つ、イタリアのベネチア国際映画祭で「審査員大賞」を受賞した映画「悪は存在しない」で監督を務めた濱口竜介監督と主演の大美賀均さんが12日、都内で会見を開き、受賞の喜びを語りました。

「悪は存在しない」は、主人公が暮らす自然豊かな村の近くにキャンプの宿泊施設を建設する計画が持ち上がり、それが村の水資源や生態系に影響をもたらすことが明らかになるという物語です。

先月から今月にかけて行われた、イタリアのベネチア国際映画祭で、最高賞の金獅子賞に次ぐ銀獅子賞にあたる「審査員大賞」を受賞しました。

12日、東京 千代田区の日本外国特派員協会で記者会見が行われ、濱口竜介監督と主演の大美賀均さんが出席しました。

この中で濱口監督は「すばらしい賞を頂き、地道に何も無いところから始めた企画が認められ、これからも地道にやっていきなさいと背中を押されたような気持ちでいます」と喜びを語りました。

また、大美賀さんは「映画に出演する経験はほとんどなかったが、それを可能にしたのは映画に参加した皆さんが作り上げた環境なので、感謝したい。あるスタッフがご褒美みたいな撮影現場だと言っていたが、すごく楽しかったです」と語りました。

今回の受賞で濱口監督は、世界3大映画祭のコンペティション部門すべてで受賞を果たしたことになります。

このほかに、アメリカのアカデミー賞も受賞していて、日本では黒澤明監督以来の快挙です。

これについて濱口監督は「1950年代と比べて私たちの制作規模は小さく、黒澤監督のような圧倒的な説得力のある映画を作ることはできません。ただ、映画にはこういう可能性があるのだという作り方について、映画祭は賭けるような気持ちで評価してくれていると思う。その賭けに勝ったと言われるような映画作りをしていきたい」と今後の意気込みを語りました。

「悪は存在しない」は、日本では来年の大型連休の期間中に公開される予定だということです。