食料安全保障を強化へ 農業基本法の改正指針を農相に答申

ロシアのウクライナ侵攻などをきっかけに世界的に食料不足への懸念が高まる中、農林水産省の審議会は、食料安全保障を強化するため、食料需給がひっ迫した場合の対策の検討などを盛り込んだ法改正の指針を野村農林水産大臣に答申しました。

農林水産省は、1999年に施行された「食料・農業・農村基本法」に基づいて農業政策を行っていますが、ロシアのウクライナ侵攻や気候変動問題などで食料調達をめぐる環境が変化したことを受け、法改正の議論を行っています。

有識者などによる審議会は11日、法改正に向けた指針をまとめ、野村農林水産大臣に答申しました。

指針では、平時と国内で食料の需給がひっ迫するような不測の事態の両面で食料安全保障を強化する必要があるとしたうえで、不測の事態の場合には、買い占め防止や流通規制などの対策を検証すべきだとしています。

また、今の「食料自給率」では、輸入に依存する肥料などの調達状況が反映されていないことから食料安全保障の強化につながる新たな数値目標を設けるとしています。

農林水産省は、指針をもとに具体的な法律の改正案をまとめ来年の通常国会に提出する方針です。

答申を受けた野村農林水産大臣は、「社会経済情勢が法律が制定された時には想定されなかったレベルで変化しており、今がターニングポイントだ。基本法の見直しに向けて具体的な施策の検討を進めたい」と述べました。