ウクライナ 4州の国民に“選挙不参加”訴え

ロシアがウクライナ4州の占領地で進めている選挙。ウクライナ政府は、国民に参加しないよう強く訴えています。国際報道2023の油井秀樹キャスターの解説です。

「投票するな」 無人機・ドローンで上空から配布

ウクライナ政府が配布しているビラの1つで「投票するな」と書かれています。このビラを無人機・ドローンの収容器に入れて上空から投下し、占領地にいるウクライナの人たちに向けて配布しています。

マリウポリの市長 「兵士2人が銃を持って投票を強要している」

ウクライナのメリトポリの市長がSNSに明らかにしたところによりますと、南部ザポリージャ州の占領地では45%以上の候補者がモスクワや極東のシベリアなどロシア国内から来たロシア人たちだと訴えています。さらに、マリウポリの市長は、「兵士2人が銃を持って人々に投票を強要している。偽の選挙だ」と反発しています。

選挙を機にロシア化が急速に進む懸念が高まる

ウクライナ政府によりますと、ロシア政府は、マリウポリにロシア国内からロシア人30万人を移住させる計画のほか、ロシアのパスポートを取得しないウクライナ人をロシア国内に移送させる計画だとしています。選挙を機にこうしたロシア化が急速に進む懸念が高まっています。

ウクライナ政府が懸念を強めているのはロシア側だけではありません。

占領地にいるウクライナ国民の間にいわゆる「裏切り者」、ロシア側との協力者が増える事態を警戒しています。ウクライナの治安当局は、今回の選挙で協力者が増えるのを懸念し、「偽の選挙に向けてわれわれは3500人以上の協力者とロシアの管理者それに候補者を特定した。われわれは、違法な活動の偽の選挙の主催者全員を法的に処罰する準備を進めている」と警告を発しています。

ウクライナ政府は、厳罰に処すると警告するとともにロシアの協力者を通告するよう国民に呼びかけています。

※9月8日「国際報道2023」で放送した内容です
※動画は2分55秒、データ放送ではご覧になれません