指揮者の吉田裕史さんがウクライナでオペラ “音楽で勇気を”

軍事侵攻が続く中、ウクライナの人たちを音楽で勇気づけようと、国際的に活躍する指揮者の吉田裕史さんが、10日、南部オデーサの歌劇場でオペラを指揮し、観客から大きな拍手が送られました。

オデーサの歌劇場は、ロシアによる軍事侵攻を受けて一時、公演を休止していましたが、去年6月に再開し、オペラやバレエなどの公演を続けています。

この歌劇場で10日、イタリアを拠点に活躍する指揮者の吉田裕史さん(54)が音楽でウクライナの人たちを勇気づけようと、オペラを指揮し、およそ1300人の観客が訪れました。

吉田さんが演目に選んだのは、イタリアの作曲家プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」で、19世紀のパリを舞台に、夢を抱く若い芸術家たちの青春のストーリーです。

吉田さんは、オペラを通じて友情や希望を伝えたかったということで、終演後には観客からスタンディングオベーションが巻き起こりました。

吉田さんは「本当にうまくいきました。全力を出したので、思いは伝わったと思います。何の心配もなく劇場に来て、心から音楽を楽しめる日が早く戻ってきてほしい」と話していました。

観客は

オペラを聴きに来た30代の女性は「とてもよかったです。音楽がすばらしい。目を閉じても情景が浮かびました。歌手やオーケストラ、そして指揮者に喝采を送りたいです」と話していました。

また20代の女性は吉田さんについて「日本人の指揮者を見て思わず、すごいとことばが出ました。私の父も指揮者ですが絶対、気に入ると思います。オペラを見て楽しかったです」と話していました。