モロッコ地震 死者2100人超 救援物資十分に届かず支援難航

北アフリカのモロッコで8日に起きた強い地震で、これまでに2100人以上が死亡しました。現地では、懸命な救助活動が続けられている一方、食料などの救援物資が十分に届いておらず、支援が難航しています。

USGS=アメリカの地質調査所によりますとモロッコ中部のマラケシュの南西およそ70キロにあるハウズ州で、現地時間の8日深夜、マグニチュード6.8の地震がありました。

モロッコ内務省はこれまでに2122人が死亡し、2421人がけがをしたと発表しました。


ロイター通信によりますと、震源地に近いアミズミズ村ではモロッコ内務省が被災者が一時的に生活をするための最大12人用のテントなどがある救援キャンプを設けていて、子どもや女性などが避難しているということですが、食料などの生活に必要な物資が不足しているということです。

このほか、道路が寸断されている村もあり、食料などの救援物資が十分に行き届いておらず、支援の手をいかに届けていくのかが課題となっています。

被災地 被害の状況は

被災地では広い範囲で甚大な被害が出ています。

このうち、モロッコ中部のマラケシュから南におよそ50キロ離れたハウズ州のウェルガン村では450余りの世帯が暮らす住宅のほとんどが倒壊したり、激しく損壊したりする甚大な被害が出ていて、10日の午後も懸命の救助活動が続けられていました。

ただ、重機はなく、消防隊員などが壊れた住宅から手作業でがれきをかき出す作業を行っていました。

この村では、土と石を固めて作ったような住宅の壁が倒壊しているのがあちらこちらで見られたほか、鉄筋の入ったコンクリートが使われた家も1階の部分が押しつぶされていました。

地元の当局者によりますとこの村ではこれまでに50人以上が死亡したということです。

地震で家が倒壊し、およそ3時間後に近所の人たちによって救出されたという60代の男性は弟夫婦とその息子など親族5人が亡くなったということで、「家にすべてがあったため、今は着替える服もない。まだがれきの下に取り残された人がいるので近所の人と協力して助けたい」と話していました。

一方、村から車で25分ほど離れたハウズ州のアスニ村の広場には、支援物資が集められていて、モロッコ政府の担当者が被災した人たちにテントを配っていました。

この地域は山あいで朝晩は気温が下がります。

この広場の中にテントを張り、親族10人で避難生活を送っていた66歳の男性は「テントには何もない。夜は寒く、ブランケットが必要だ」と話していました。

松野官房長官「必要な支援を検討したい」

松野官房長官は午前の記者会見で「日本政府として、地震でお亡くなりになられた方々やその家族に心からの哀悼の意を表するとともに、負傷された方々にお見舞い申し上げる。モロッコ側には、必要とされる可能なかぎりの支援を行う用意がある旨を伝えている。現時点までに邦人の生命や身体に被害が及んでいるという情報には接していないが、在留邦人の安全確保に万全を期すとともにモロッコ側のニーズを踏まえて必要な支援を検討したい」と述べました。