リトアニア クラスター爆弾禁止の国際条約めぐり議論続く

殺傷能力が高く民間人にも被害を及ぼすクラスター爆弾がロシアとウクライナとの戦闘で使用される中、これまでクラスター爆弾の生産や使用を禁止する国際条約に参加してきたバルト三国のリトアニアでは、「防衛力を強化するため条約から脱退すべきだ」という声が政府部内で上がり、議論が続いています。

小型の爆弾をまき散らすクラスター爆弾は殺傷能力が高いうえ、多くの不発弾を残し民間人に被害を及ぼすことから、生産や使用を禁止する国際条約があり、日本を含む110か国以上が参加しています。

しかし、条約に参加していないロシアはウクライナでの戦闘でたびたび使用しているうえ、アメリカから供与を受けたウクライナも使用し、国際的なNGOなどによりますと、去年1年間にウクライナだけで900人以上がクラスター爆弾によって死傷したとみられています。

こうした中、これまで禁止条約に参加してきたバルト三国のリトアニアの国防省は、NHKの取材に対し、政府として条約から脱退するかどうかを検討していることを明らかにしました。

リトアニアでは国境を接するロシアへの警戒が高まっていて、地元のメディアによりますと、アヌシャウスカス国防相が「防衛力を強化するため禁止条約から脱退すべきだ」と主張しているのに対し、他の政府関係者は国際社会の批判を懸念して脱退に慎重で、議論が続いているということです。

11日からはスイスのジュネーブで禁止条約の締約国会議が開かれることになっていて、リトアニアがどのような立場を示すのか、注目されます。