モロッコ地震 死者これまでに2000人超 救助活動が続く

北アフリカのモロッコで8日に起きた強い地震で、国営メディアはこれまでに2000人以上が死亡したと伝えています。
現地では倒壊した建物に取り残された人たちの救助活動が続いています。

USGS=アメリカの地質調査所によりますと、モロッコ中部のマラケシュの南西およそ70キロにあるハウズ州で、現地時間の8日深夜、マグニチュード6.8の地震がありました。

モロッコの国営メディアはこれまでに2012人が死亡し、2059人がけがをしたと伝えています。

このうち震源地に近い、ハウズ州にある村では、山の斜面に沿うようにして多くの家が建てられていますが、レンガなどでつくったものがほとんどで、激しく損壊したり、一部が崩れたりしているものがあちらこちらでみられました。

村の人たちは余震による倒壊を恐れて簡素なテントを張ったり、広場に毛布を敷いたりして一夜を過ごしていました。

家族とともに屋外で避難生活を続ける15歳の女性は、「靴も履かないまま、着の身着のまま家を飛び出し、寒さと恐怖の中過ごしている。まずは寒さをしのげる服と住まいが必要です」と話していました。

現地では、重機を乗せた大型車両が被害の大きい地域に向かう様子もみられ、がれきを取り除くなどして、倒壊した建物に取り残された人たちの救助活動が続いています。

震源地のハウズ州とは

今回の地震の震源地で最も大きな被害がでているモロッコ中部のハウズ州は、マラケシュの南に位置し、アトラス山脈がある山岳地帯です。

モロッコの国営メディアによりますと、9日夜の時点で州内で亡くなった人は1293人と全体の犠牲者の半数以上にのぼっています。

現地からの映像では、倒壊した建物のがれきを取り除いたり、けが人を担架にのせて救急車に運び込んだりする様子が確認でき、懸命の救助活動が続いています。

WHO「30万人以上に影響」

WHO=世界保健機関は9日、今回の地震でマラケシュとその周辺の30万人以上に影響が出ているとSNSで発表しました。

また、OCHA=国連人道問題調整事務所によりますと、現地の病院には多くのけが人が運び込まれていて、地元当局は住民に献血を呼びかけているということです。

台湾 50万ドル提供支援表明

台湾外交部は10日、モロッコに対する支援として50万ドル、日本円にして7300万円あまりを提供する意向を表明しました。

台湾はモロッコと外交関係がなく、窓口となる代表事務所も置いていませんが、モロッコ側の要請があれば捜索救助隊を派遣する準備もできているということで、外交部は「台湾は微力を尽くして支援を提供したい」としています。

USGS “マグニチュード6以上の地震記録なし”

USGS=アメリカの地質調査所によりますと、今回の震源地から500キロ以内の地域では1900年以降、マグニチュード6以上の地震の発生は記録されていないということです。

一方で、モロッコでは地中海沿いの北部でマグニチュード6以上の地震が過去にたびたび起きているほか、1960年には西部の大西洋沿岸地域でマグニチュード5.8の地震が発生し、1万2000人以上が死亡したということです。

日本在住のモロッコ人「とてもショック」

モロッコ南部のワルザザート出身で、都内でモロッコ料理店を営むハサンさんは、母国での地震を受けて「とてもショックでした。現地の様子を伝える動画を見て涙を流しました」と話していました。

地震のあと、モロッコに住む家族とは電話がつながり、親類全員の無事が確認できましたが、現地では住宅が崩れるなどの被害が出ているということです。

ハサンさんは「モロッコは地震の経験がほとんどないので、みんな驚き、心にショックを受けています。日本の地震の経験をモロッコに伝えて、助けてほしいです」と話していました。