プーチン氏 11日にウラジオストクへ キム総書記と会談調整中か

ロシア大統領府は、プーチン大統領が極東のウラジオストクで始まる国際経済会議に出席するため11日から2日間の日程で現地を訪れると発表しました。
北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記との首脳会談の開催に向けて調整が続いていると見られます。

ウラジオストクでは、10日から4日間の日程で国際経済会議の「東方経済フォーラム」が開かれます。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は9日、プーチン大統領が11日から2日間の日程で現地を訪れ、12日に行われる全体会合で演説すると発表しました。

会議には、中国やラオスの高官などが出席し、このうち全体会合の前にはラオス側と会談することなど、一部の日程が公表されました。

ただ、ペスコフ報道官は、北朝鮮のキム・ジョンウン総書記の訪問については「何も言うことはない」と述べました。

一方、地元の沿海地方政府の関係者は、NHKに対し「キム総書記は専用列車で11日に出発するようだ」と述べていて、ウラジオストクの駅では、9日までにクレーンを使って駅舎の壁をペンキで塗り直したり汚れを落とす清掃が行われたりしていました。

キム総書記との首脳会談の開催に向けて調整が続いていると見られます。

プーチン大統領としては、ウクライナ侵攻が長期化する中、北朝鮮側と武器の供与をめぐって話し合いたいねらいがあるとされ会談をめぐる関心が高まっています。

そもそも「東方経済フォーラム」とは?

「東方経済フォーラム」は、ロシア極東の発展に力を入れるプーチン大統領の肝いりで2015年から始まりました。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中止された2020年を除き毎年、開催され、今回8回目となります。

会場は、極東開発の象徴でもあるウラジオストク沖合の「ルースキー島」に建設された極東連邦大学の施設で、プーチン大統領も毎回全体会合に出席し、演説を行っています。

かつては、安倍元総理大臣も4年連続で出席するなど、アジア地域の首脳らも参加し、ロシアとの経済協力などをめぐり議論が交わされてきました。

ロシア軍によるウクライナ侵攻が開始されてからはじめての開催となった去年もアルメニアやモンゴルの首相などが出席し、プーチン大統領は欧米がロシアに科した制裁が「世界経済を弱体化させた」と主張し、欧米側との対決姿勢を鮮明にしました。

ことしのフォーラムについて、ウラジオストクにある沿海地方の行政府は、8日に公式サイトで、中国や北朝鮮、ラオスなど10か国から代表団が派遣されると発表しました。

中国からは張国清副首相が出席予定

このうち中国からは張国清副首相が出席する見通しで、ラオスとミャンマーからも政府高官が出席する予定ですが、現時点で出席者のなかに首脳の名前は含まれていません。

張副首相は10日から12日までの日程でウラジオストクを訪問し、関連する会議に出席するということです。

中国外務省は「中国は今回の訪問を通して、極東における中ロ間の協力を深め、地域の発展をともに推進することを期待している」としています。

ロシア科学アカデミー「アジア太平洋は戦略的に重要な地域」

ロシア科学アカデミー極東支部のグローバル地域研究センターのビクトル・ラーリンセンター長は、NHKの取材に対して「ロシアにとってアジア太平洋は多くの面で戦略的に重要な地域だ。ロシアがアジアにおける大国であることを確認するための要素として重要だ」と述べフォーラムの重要性を強調しました。

その上で「ロシアは非西洋的な地域に方向転換している」と述べ、ロシアは、アジアを舞台に中国や北朝鮮などとの関係を強化することで欧米への対抗軸を構築していきたいねらいだと指摘しました。