オリックス 山本由伸 ノーヒットノーラン 2年連続は82年ぶり

プロ野球、オリックスの山本由伸投手が9日夜、千葉市のZOZOマリンスタジアムで行われたロッテとの試合で自身2回目のノーヒットノーランを達成しました。プロ野球でのノーヒットノーランは、ソフトバンクの石川柊太投手が先月18日に達成して以来、100回目となります。また2年連続の達成は1941年以来、82年ぶり3人目です。

山本由伸が自身2回目のノーヒットノーラン達成

山本投手はロッテ打線を相手に序盤から150キロ中盤の力強いストレートに加え、カーブや落差のあるフォークボールなど変化球のキレも抜群で、6回の先頭バッターにフォアボールを与えるまで1人のランナーも許しませんでした。

その後もヒットを許さず9回は2アウトのあとデッドボールでランナーを出しましたが最後のバッターをセカンドゴロに打ち取って、自身2回目のノーヒットノーランを達成しました。

山本投手は29人のバッターと対戦してフォアボールとデッドボールを1つずつ与えたのみで三振8つを奪い、球数は102球でした。

ノーヒットノーラン達成は山本投手自身は去年6月18日に続いて2回目で、プロ野球では先月18日、ソフトバンクの石川柊太投手が達成して以来、100回目となります。

試合はオリックスが4対0で勝ち、優勝へのマジックナンバーを「12」としました。

山本由伸「もっと高みを目指して頑張る」

自身2回目のノーヒットノーランを達成した山本投手は「最後までドキドキしていたのですごくホッとしている。9回のマウンドに上がるときから、すごい歓声だったので気持ちよく投げられた」と振り返りました。

その上で「立ち上がりからテンポよく行くことができてランナーを出していないことにも気づいていたが途中でフォアボールを出したので、しっかり切り替えてなんとかリードを守ろうと投げた結果、いい結果が出てよかった。試合に入ったら結構ボールを操れていたしキャッチャーの配球もすごく合っていて助けられた。次はフォアボールも出さないように、もっと高みを目指してがんばります」と笑顔で話していました。

大リーグ関係者も数多く視察する中での快挙

山本投手は試合後の会見で「今シーズンはまだ完封もなかったので、少しでも長くと思っていた。とにかく集中して投げることができて、最高の結果になってよかった」と喜びを語りました。

その上で「2位のチームとの試合でいつも以上に気合いが入っていたし、いいバッターも並んでいて最後まで気が抜けなかった。まっすぐがすごくよくて、ほかの変化球も効いたと思う。とにかくテンポよくという基本的な部分に重点を置いて投げることができて、フォアボールやデッドボールもあったが最後まで落ち着いていけた」と自身の投球を振り返りました。

また、2年連続の達成となったことについては「簡単なことではないのでたまたまだ。終盤の緊張感や最後まで気の抜けない感じなど去年を思い出すことはたくさんあった」と話し、試合中チームメートから声かけがあったか問われると「けっこう早い段階から騒がしかった。『気にするなよ』と言われたが、その声かけが一番気にしてしまった」と笑顔で話していました。

さらにこの試合には、ヤンキースのブライアン・キャッシュマンゼネラルマネージャーをはじめ大谷選手の所属するエンジェルスなど大リーグの球団関係者も数多く視察に訪れていて、注目が集まった中での好投について「注目していただけることはうれしいし、いい結果出たのでよかった。もっともっと頑張って、もっともっといいボールを投げられるようにしたい」と話し「高みを目指して練習するのはぶれずにできてるのでそれがいい方向に行ってるかなと思う。勢いづく試合になったと思うしまだシーズンの試合数も残ってるので全員で戦って行きたい」と今後の戦いに向けて気を引き締めていました。

2年連続のノーヒットノーランは82年ぶり

山本投手が成し遂げた2年連続のノーヒットノーランは、1941年(昭和16年)以来、82年ぶりです。またプロ野球が1950年(昭和25年)に今の2リーグ制になってからは、初めてです。プロ野球で、これまでに2年連続でノーヒットノーランを成し遂げたのは山本投手が3人目です。

▽沢村栄治さん(巨人):1936年(昭和11年)・1937年(昭和12年)
▽亀田忠さん(巨人):1940年(昭和15年)・1941年(昭和16年)
▽山本由伸投手(オリックス):2022年6月18日・2023年9月9日

また、これまでに、1人のランナーも出さない「完全試合」を含めノーヒットノーランを合わせて複数回、達成したのは9人で、山本投手で10人目になります。

【3回(最多)】
▽沢村栄治さん(巨人):ノーヒットノーラン3回
▽外木場義郎さん(広島):完全試合1回・ノーヒットノーラン2回

ロッテ打者陣も脱帽のピッチング

ノーヒットノーランを達成したオリックスの山本由伸投手のピッチングに、対戦したロッテのバッター陣も脱帽した様子でした。

ホームラン23本でリーグトップタイに立ち、4番に入ったポランコ選手は「コントロールがよかった。ストレート、ツーシームが特によく、フォークボールもよく落ちていた」と対戦を振り返りました。

6回2アウト二塁とこの試合、唯一得点圏にランナーを置いた場面で対戦した1番の荻野貴司選手は「球の勢いもあったし、コントロールも丁寧に投げていて、甘い球はなかった。簡単には打てないと思う」としたほか、8番に入った田村龍弘選手は「まっすぐに勢いがあり、フォーク、カーブもキレがよかった。一流の決め球が3つもあったらそう簡単には打てない。キャッチャーのリードもよくきょうは甘い球を1発で仕留められないとダメだった」とコメントしました。

山本由伸 昨季まで2年連続の“沢村賞”も

山本投手は岡山県出身の25歳。

宮崎の都城高校から2016年のドラフト4位で指名された右ピッチャーです。

身長1メートル78センチと上背はないものの、160キロに迫るストレートにフォークボールやカーブを織り交ぜたピッチングが持ち味です。

プロ2年目に中継ぎでリーグ2位の32ホールドを挙げると、よくとしからは先発に転向し、3年目の2019年に防御率1.95で最優秀防御率、2020年に149個の三振を奪って最多奪三振のタイトルを獲得しました。

そして、おととし(2021年)には18勝5敗で最多勝をはじめとした先発投手のタイトル4つを獲得したほか、最も活躍した先発完投型のピッチャーに贈られる「沢村賞」を受賞しました。

プロ6年目の昨シーズンは自身初となるノーヒットノーランを達成するなどシーズンを通して圧倒的なピッチングを見せ15勝5敗で史上初めて、2年連続で先発投手のタイトル4つを獲得し「沢村賞」にも2年連続で輝きました。

今シーズンも150キロを超える速球と多彩な変化球をコントロールよく投げ分けてこの試合の前まで19試合に登板して13勝5敗、防御率1.34と勝利数と防御率でいずれもリーグトップに立っていました。