iPS細胞の心筋球移植 “大きな副作用みられず”最新の経過発表

iPS細胞から作った心臓の筋肉を、小さな球状のかたまりにして心臓病の患者に移植する新たな治療法について、治験を進めている慶応大学発のベンチャーなどのグループが最新の経過を発表しました。移植後、半年たった2人の患者には大きな副作用はみられていないということです。

これは慶応大学の医師らが立ち上げた医療ベンチャー「ハートシード」などのグループが9日、東京都内で開かれた学会で発表しました。

この会社では、重い心不全の患者が心臓のバイパス手術を受ける際にiPS細胞から作った心筋の細胞を小さな球状にした「心筋球」を心臓に注射で移植する治験を進めています。

学会では、手術を担当した東京女子医科大学の市原有起講師が最新の経過を報告し、手術から半年たった2人の患者について、いずれも拒絶反応はみられず、重い不整脈などの大きな副作用は起きていないとしました。

また、心機能や運動能力に徐々に改善がみられるということです。

会社によりますと治験では合わせて10人に移植を行う計画で、これまでに4人が移植を受けたということで、今後、安全性や有効性を確認した上で国の承認を目指すということです。

会社の社長で慶応大学の福田恵一名誉教授は「心不全に悩む患者は数多くいる。安全性を慎重に確認しながら、効果がより発揮できるよう開発を進めたい」と話しています。