イーロン・マスク氏 衛星通信網の利用 ウクライナの要請応じず

アメリカの起業家、イーロン・マスク氏は、自身の会社が開発した衛星通信網について、ウクライナ政府から、戦況の焦点の1つとなっている南部クリミアで利用したいという要請を受けたものの、戦争の激化に加担することになるとして応じなかったと明らかにしました。

マスク氏は、ロシアのウクライナへの軍事侵攻以降、ウクライナ国内で深刻な通信障害が発生していることを受けて、自身が率いる「スペースX」の衛星を使ったインターネット接続サービス、スターリンクを提供してきました。

このサービスをめぐり、アメリカメディアは近く発売されるマスク氏の伝記に触れる形で、マスク氏が戦況の焦点の1つとなっている南部クリミアのロシア海軍の艦隊に対するウクライナの奇襲攻撃を防ぐため、接続を切るよう社内の技術者に命じていたなどと報じました。

これについて、マスク氏は7日、自身の旧ツイッター、Xへの投稿の中で「問題となっている地域では、スターリンクの接続は有効でなかった」として、接続を切ったとする報道を否定しました。

そのうえで、ウクライナ政府からスターリンクを利用したいという要請を受けたことは認め、「ロシア艦隊を沈める意図は明白だった。同意していたら戦争の激化に加担することになっただろう」と述べ応じなかったことを明らかにしました。

マスク氏は、一連の投稿の中で戦争に若者たちの命を奪う価値はないとして、ウクライナとロシアの双方に停戦を呼びかけています。