職場で虐待受けた障害者 前年比30%余増 “経済的虐待”増加か

職場で虐待を受けた障害者は昨年度、656人と前の年に比べて30%余り増加したことが厚生労働省の調査で分かりました。新型コロナからの経済の回復で障害者の働く時間が増え、賃金の不払いなど「経済的虐待」が増えたことが要因とみられます。

厚生労働省は、職場での障害者への虐待について、当事者や同僚などからの通報や企業など事業所への訪問をもとに毎年、調査しています。

その結果、昨年度、虐待が認められた人数は全国で656人と前の年にくらべて154人、率にして30.7%増えました。

最も多かったのは、賃金の未払いや最低賃金を下回る賃金しか支払わないなどの「経済的虐待」で全体の87.3%、600人に上りました。

次いで
▽暴言や差別的発言などの心理的虐待で6.8%、47人、
▽暴力を振るうなどの身体的虐待は3.5%、24人でした。

虐待が認められた事業所を業種別に見ると、
▽製造業が25.3%と最も多く、
次いで
▽医療・福祉が21.2%
▽卸売業・小売り業が14.4%などとなっています。

厚生労働省は「新型コロナからの経済の回復で労働時間が増加し、最低賃金を下回る支払いや時間外労働に対する割増賃金の不払いなどの経済的な虐待を受けた人が多くいた。この結果を受け、自治体などと緊密に連携して虐待の防止に取り組んでいきたい」としています。