【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(9日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる9日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ゼレンスキー大統領“日本は重要なパートナー 支援に感謝”

ウクライナのゼレンスキー大統領は、9日SNSに、首都キーウを訪れた林外務大臣と握手をしている写真とともに「日本の林外務大臣をウクライナにお迎えした。日本がアジアにおける重要なパートナーであり続け、ウクライナを支援してくれていることに感謝する」などと投稿しました。

クレバ外相「2国間の関係はこれまでにない高いレベル」

クレバ外相は林外務大臣との共同記者会見で「林大臣を迎えて会談できたことはとてもうれしい。われわれの2国間の関係は歴史的にこれまでにない高いレベルに達した。日本がこれまでにウクライナに供与してくれた人道支援や財政支援を決して忘れない」と強調しました。

またクレバ外相は、会談で、領土の回復やウクライナからのロシア軍の撤退などを盛り込んだゼレンスキー大統領の和平案に対する支持をアジアで広げていくための議論も行ったとしています。

その上で今回、交渉を始めることで合意したウクライナの安全保障をめぐる日本との2国間協定について今後、積極的に協議を行っていきたい考えを示しました。

林外相 ウクライナ訪問 ロシア軍事侵攻後 日本の外相訪問は初

ポーランドを訪れていた林外務大臣は9日午前、ウクライナに入りました。

このあと、ロシアによる侵攻で多くの市民が犠牲となった首都キーウ近郊のブチャを視察する予定です。

そして、キーウでクレバ外相など政府要人と会談することにしています。

去年2月にロシアによる軍事侵攻が始まってから、日本の外務大臣がウクライナを訪問するのは初めてです。

会談で林大臣は、ロシアへの制裁とウクライナ支援を維持・強化するため、G7議長国として国際社会での議論をリードしていく姿勢を伝えたい考えです。

また、今回の訪問には楽天グループの三木谷浩史 社長など日本企業の関係者も同行していて、ウクライナの復興に向け、日本が官民で連携して支援していく方針を伝えることにしています。

国連高官 “ロシアのウクライナ占領地域の選挙 法的根拠なし”

国連安保理では8日、ウクライナ情勢をめぐる会合が開かれ、ロシアが去年9月に併合を一方的に宣言したウクライナ東部と南部の4つの州で選挙だとする活動を行っていることについて発言が相次ぎました。

はじめに報告した国連の高官は去年の一方的な併合宣言は国際法違反で無効だとした国連総会の決議を強調し「占領地域でロシアが実施しているいわゆる選挙には法的な根拠がない」と指摘しました。

このあとアメリカのウッド国連次席大使は「偽の選挙はプロパガンダにすぎない。ウクライナでの軍事的損失をロシア国民から隠すため選挙での成功をねつ造しようとしている」と非難したほか、日本の石兼国連大使は(いしかね)「違法な併合に続く行為で断じて容認できない」と述べるなど、欧米など各国から非難が相次ぎました。

これに対してロシアのネベンジャ国連大使は「去年の投票で住民たちは自由な選択を行いわたしたちの国を支持した」と述べて併合を改めて正当化し、「われわれに対する新たな攻撃の口実にしようとしている」とアメリカなどを非難しました。

マスク氏 衛星通信網の利用 ウクライナの要請に応じず

アメリカの起業家、イーロン・マスク氏は、自身の会社が開発した衛星通信網について、ウクライナ政府から、戦況の焦点の1つとなっている南部クリミアで利用したいという要請を受けたものの、戦争の激化に加担することになるとして応じなかったと明らかにしました。

マスク氏は、ロシアのウクライナへの軍事侵攻以降、ウクライナ国内で深刻な通信障害が発生していることを受けて、自身が率いる「スペースX」の衛星を使ったインターネット接続サービス、スターリンクを提供してきました。

このサービスをめぐり、アメリカメディアは近く発売されるマスク氏の伝記に触れる形で、マスク氏が戦況の焦点の1つとなっている南部クリミアのロシア海軍の艦隊に対するウクライナの奇襲攻撃を防ぐため、接続を切るよう社内の技術者に命じていたなどと報じました。

これについて、マスク氏は7日、自身の旧ツイッター、Xへの投稿の中で「問題となっている地域では、スターリンクの接続は有効でなかった」として、接続を切ったとする報道を否定しました。

そのうえで、ウクライナ政府からスターリンクを利用したいという要請を受けたことは認め、「ロシア艦隊を沈める意図は明白だった。同意していたら戦争の激化に加担することになっただろう」と述べ応じなかったことを明らかにしました。

マスク氏は、一連の投稿の中で戦争に若者たちの命を奪う価値はないとして、ウクライナとロシアの双方に停戦を呼びかけています。

ウクライナ東部 ロシア軍の攻撃で1人死亡60人けが

ウクライナでは8日、東部ドニプロペトロウシク州のクリビーリフで、ロシア軍の攻撃があり、内務省などによりますと、集合住宅や警察署などが被害を受け、警察官1人が死亡し、60人がけがをしました。

6日も東部ドネツク州のコスチャンチニウカの商店街に攻撃があり、ウクライナでは、前線に近い市街地への攻撃が相次いでいます。

地元メディアによりますと、検察は、この商店街への攻撃による死者について、当初の17人から15人に訂正しました。

ロシア 併合地域で ‘選挙’ ウクライナ「プロパガンダ」と批判

ロシアでは8日、統一地方選挙の投票が始まり、去年9月、ロシアが併合を一方的に宣言したウクライナ東部のドネツク州など4つの州でも、ロシア側の代表を選ぶ選挙だとする活動を行っています。

ウクライナ国防省の情報総局の報道官は「政治的なプロパガンダだ」と述べ、支配の既成事実化を狙う試みだと批判しました。

その上で、ロシアは占領地域で住民を軍に動員する準備を進め、東部の2州ではすでに6万人以上が強制的に動員されたとしています。

また、ウクライナの外務省は「ウクライナの主権や法律を著しく侵害するものだ。偽りの選挙は無効で、いかなる法的な影響力もない」として非難を強めています。