秋本議員逮捕 元社長“国会質問を依頼” 幹部にメールで連絡か

洋上風力発電事業をめぐり、秋本真利衆議院議員が逮捕された汚職事件で、風力発電会社の元社長が会社の複数の幹部に、秋本議員に国会質問を依頼したと伝えるメールを送っていたことが関係者への取材でわかりました。秋本議員はこの直後、実際に、会社が参入を目指していた青森県沖の洋上風力発電事業に関する国会質問をしていて、東京地検特捜部は詳しい経緯を調べているものとみられます。関係者によりますと秋本議員は容疑を否認しているということです。

自民党を離党した衆議院議員の秋本真利容疑者(48)は、洋上風力発電事業をめぐって、東京の風力発電会社「日本風力開発」の塚脇正幸元社長(64)から合わせて6000万円余りに上る借り入れや資金提供を受けたとして、7日に受託収賄の疑いで東京地検特捜部に逮捕されました。

日本風力開発は、洋上風力発電事業のうち青森県の陸奥湾などでの事業への参入を目指していましたが、2019年の2月下旬、塚脇元社長が会社の複数の幹部に、秋本議員に青森での事業に関する国会質問を依頼したという内容のメールを送っていたことが関係者への取材でわかりました。

秋本議員はこの直後の2月27日、衆議院予算委員会の分科会で、実際に、青森県沖の海域について防衛関連施設への影響を理由に過度な規制をかけないよう求める質問をしていました。

秋本議員は翌月、中央競馬の馬主登録を申請するため塚脇元社長から3000万円を借り入れていて、特捜部はこの貸し付けは国会質問の見返りだった疑いがあるとみて、詳しい経緯を調べているものとみられます。

関係者によりますと、秋本議員は特捜部の調べに対し容疑を否認しているということで、弁護士を通じて、「塚脇氏から依頼されて、日本風力開発の利益を図るために国会質問をしたということは断じてありません。国会質問の謝礼として賄賂を受けたと言う事実はありません。私は潔白です」などとするコメントを出しました。

一方、塚脇元社長は調べに対し、秋本議員への贈賄を認め、提供した資金について、「国会質問の謝礼だった」という趣旨の供述をしているということです。

西村経産相「捜査に全面協力 再生可能エネルギー導入へ全力」

秋本真利衆議院議員が受託収賄の疑いで逮捕されたことについて、西村経済産業大臣は8日の閣議のあとの記者会見で、「一連の報道は承知しているが、捜査機関の活動に関わることなので、政府としてのコメントは控えたい。一般論として捜査機関から要請があれば全面的に協力したい」と述べました。

そのうえで、「再生可能エネルギーについては、2030年度には電源構成として36%から38%にするという導入目標を決めているので、洋上風力を含めて最大限の導入に向けて全力で取り組んでいきたい」と述べました。

西村環境相「手続きの透明性をもって進める」

再生可能エネルギーによる脱炭素を推進している環境省の西村大臣は、8日の閣議後の記者会見で「再生可能エネルギーの導入拡大のためには、地域住民から協力、理解を得られる体制を作ることが非常に重要だ。今回の件により、さまざまな影響があるかもしれないが、地球の将来のために、再生可能エネルギーの導入拡大を図っていることを理解してもらい、国としては手続きの透明性をもって進めることをより明確に発信していかなければならない」と述べました。

斉藤国交相「大変遺憾 あってはならないこと」

斉藤国土交通大臣は8日の閣議のあとの会見で、「大変遺憾で、あってはならないことだ」と述べました。

そのうえで、「捜査機関の活動に関わることなので、私からコメントすることは差し控えたいが、洋上風力を含む再生可能エネルギーの導入拡大が、政府として重要な政策であることに変わりはない。引き続き国土交通省としては2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、経済産業省と連携して洋上風力発電の導入促進にしっかりと取り組んでいきたい」と述べました。