ラグビーW杯 サモア戦に向け 基本の「キ」【9月27日更新】

ラグビーのワールドカップフランス大会は開幕から3週間ほどが経ちました。日本は1次リーグ2戦目のイングランド戦に敗れ、通算成績は1勝1敗となっています。第3戦は日本時間の29日早朝、格上のサモアとの一戦です。

基本情報の更新も今回が4回目。今回は次戦の相手、サモアについての情報と日本の1次リーグ突破の条件などについて解説します。

《更新》=対戦相手編=

★第3戦の相手 サモアはどんなチーム?

サモア代表はサモアの獣を意味する「マヌ・サモア」の愛称で呼ばれ、試合前には「シバタウ」という戦いの舞を披露することでも知られています。ラグビーはサモアの“国技”で、小学校ではラグビーの授業もあります。

試合前 サモアの「シバタウ」

サモア代表は9大会連続9回目のワールドカップ出場で、1991年と1995年大会ではいずれもベスト8に入っています。伝統的にスピードと激しいパワープレーが持ち味の攻撃的なチームです。

今大会1勝1敗のサモアの注目選手は、司令塔のスタンドオフ(背番号10)を務めるクリスチャン・リアリーファノ選手です。

前回大会ではオーストラリア代表で出場しましたが、代表チーム変更のルールが適用され、サモア代表の一員になりました。白血病を克服し、日本のトップリーグ(現在のリーグワン)の豊田自動織機やNTTコミュニケーションズでもプレーしました。今大会はチリ戦、アルゼンチン戦にいずれも先発出場していて、司令塔として存在感を示しているほか、キッカーとしてペナルティーキックやコンバージョンキックも担当しています。リアリーファノ選手に思うとおりのプレーをさせないことが日本が勝利するために必要になりそうです。

【ことし7月には日本と対戦】
日本とサモアはことし7月、今シーズン初のテストマッチで対戦。リーチ マイケル選手が危険なタックルで退場処分となるなか22対24で日本が敗れ、通算の対戦成績は5勝12敗となっています。しかし、ワールドカップでは過去2大会連続で対戦していずれも日本が勝っています。

★日本は中10日 サモアは中5日 1次リーグ突破条件は?

各チーム2試合から3試合を終え、1位が3戦全勝のイングランド、5位が3戦全敗のチリです。残る3チームは2試合を終え、2位サモア、3位日本、4位アルゼンチンの3チームが1勝1敗で並んでいます。得失点差でサモアが2位(+24)日本が3位(+8)となっています。

決勝トーナメントに進むのは各プールの上位2チームで、すでに3勝して勝ち点を14に伸ばしているイングランドは1次リーグ突破をほぼ確実にしています。残り1枠を巡って、日本は残るサモア、アルゼンチンとの戦いにどちらも勝利しなければ、1次リーグ突破は厳しくなる状況です。

サモアは第2戦のアルゼンチン戦と第3戦の日本戦の間が「中5日」となっていますが、対する日本は第2戦のイングランド戦から「中10日」を空けていて、日本がやや優位な日程で対戦します。日本はサモア戦に敗れると1次リーグ突破が厳しくなるだけに、まずはサモアから確実に勝利をあげることが求められます。

=基礎編=

★そもそもラグビーって?

ラグビーは大きく分けて1チーム15人でプレーする「15人制」と、1チーム7人でプレーする「7人制」(通称セブンズ)の2つがあり、今回のワールドカップは「15人制」で行われます。

1チーム9人がプレーする野球は「ナイン」、11人のサッカーは「イレブン」ですが、15人で行われるラグビーは「フィフティーン」と呼びます。

ラグビーは相手チームの陣地に攻め込んで得点エリアに入ることで点数を競う競技であることから「陣取りゲーム」という言い方をされることがあります。

★5点、3点、2点、場合によっては7点も…得点のケースはいろいろ

《トライ=5点・コンバージョンキック=2点》
ラグビーには得点の方法がいくつかあり、「トライ」は5点です。トライは相手の陣地のインゴールの地面にボールをつけたときに認められ、トライが決まるとレフェリーはホイッスルを吹いて片腕を真上にあげます

トライが決まると「コンバージョンキック(決まれば2点)」の機会が与えられます。「トライ」の語源はそのあとのキックに“挑戦”できるようになるため、その名がつけられたといわれています。

「コンバージョンキック」はトライをした位置の延長線上であれば、どこからでも蹴って良いとされています。このため時折、トライを狙って攻撃側の選手がボールを持ったままゴールラインに走り込んだ場合、すぐボールを置いてトライとせずに、よりゴールポストに近い位置に走り込もうとするシーンがみられます。これはキックの位置をなるべくゴールポストに近づけてキックの成功の可能性をより高くしようと考えての動きです。

Hの形をしているゴールポストの真ん中にあるクロスバーの上を通るとコンバージョンゴールが決まったことになります。トライは「T」、コンバージョンキックは「G」とも表記されます。

《ペナルティーゴール=3点》
相手チームに重い反則があった場合に選択できるのが「ペナルティーゴール」です。
反則のあった地点かその後方の延長線上であればどこからでもキックができ、ゴールが決まると3点が与えられます。「PG」とも表記されます。

《ドロップゴール=3点》
プレーの最中にボールを地面にワンバウンドさせてから蹴ることで直接ゴールポストを狙うプレーはドロップキックといい、ドロップゴールが決まると3点が入ります。「DG」とも表記されます。

ドロップゴールは一度ボールを落としてから

《ペナルティートライ=認定トライ=7点》
ペナルティートライは「認定トライ」とも呼ばれ、守備側に重い反則があり、その反則がなければトライになっていた、と審判が判断した場合に認められるもので、「コンバージョンキック」を蹴ることなく一挙に7点が追加されます。

★ラグビーのグラウンドにはラインがたくさん

ラグビーのグラウンドはサッカーの国際試合のときのピッチと同じくらいの大きさです。

ハーフウェイラインの中央でキックオフが行われます。

長い辺のラインはタッチラインと呼ばれ、ここを越えると相手ボールになるなどプレーが切れます。

ゴールラインを越えてインゴールという位置にボールが置かれるとトライとなります。特徴的なのはゴールラインの真ん中にH型のゴールポストがあることです。

横棒のクロスバーの上、2本のポールの間をボールが通ると点が入ります。クロスバーの上であれば、ポールの長さよりどれだけ高い位置でも得点になるのです。

ゴールラインから22メートルの位置に平行に引かれた線が22メートルラインです。「22」という中途半端な数字なのは、25ヤードだったものをメートルに直した名残といわれています。(25ヤードは22.86メートル)

この22メートルラインは戦術的にとても大事なラインです。敵陣の22メートルラインを越えて攻め込むと相手に大きなプレッシャーを与えられる一方、自陣の22メートルラインを越えられると、ピンチの場面といえます。22メートルラインに注目して試合を見てみると、新たな発見があるかもしれません。

★フォワード(FW)とバックス(BK)って?

15人制ラグビーのポジションは大きく分けてフォワードとバックスの2つあります。背番号1番から8番がフォワード9番から15番がバックスです。

サッカーにもフォワードのポジションがありますが、サッカーとラグビーでは役割が違います

スクラムはフォワードの8人どうしで押し合います

点を取ることを求められるのがサッカーのフォワードなら、ラグビーのフォワードはスクラムを組んだり、守備で体を張ったりといわば「縁の下の力持ち」にあたる役割が多いポジションです。スピードはバックスの選手に及ばなくても、その体の強さから密集の状態で相手ディフェンスに立ち向かい、トライを狙う場面もあります。

★実はことしラグビーは生誕200年!

ラグビーワールドカップの優勝チームに贈られるトロフィーは、1987年の第1回大会から使用されていて「ウェブ・エリス・カップ」と呼ばれます。その名は、ラグビーの“起源”とされるイギリスの少年の名前に由来しています。

今から200年前の1823年8月24日にイングランドのパブリックスクール「ラグビー校」でのフットボールの試合中「ウィリアム・ウェブ・エリス」という生徒がルールを無視してボールを持って走り出しました。これがラグビーの起源と言われています。

トロフィーは金ぱくに覆われた純銀製で高さ47.2センチ、重さ4.5キロで、台座の部分に歴代の優勝チーム名が刻まれています。

前回大会優勝は南アフリカ

持ち手はギリシャ神話に出てくる精霊などの頭部が施されているほか、カップ全体にライオンの顔やぶどうの木などの装飾があしらわれています。

ウェブ・エリス・カップには特別な決まりがあります。実は素手で触れていいのは優勝経験のある選手などの限られた人だけ。それ以外の人は手袋をしてトロフィーを扱います。

=日本代表編=

★日本代表のスローガン”ワンチーム”から変わっています!

前回、自国開催で初のベスト8と躍進し、ラグビーブームを巻き起こした日本代表。

あれから4年たった代表選手の顔ぶれもさまざまで、今大会のキャプテンは、姫野和樹選手が務めます。前回大会、相手のボールを奪いにいく「ジャッカル」というプレーで何度もチームを勢いづけた力は健在です。

キャプテンは姫野和樹選手

2015年、2019年と2大会連続でキャプテンを務めたリーチ マイケル選手やチーム最年長の37歳、堀江翔太選手。「笑わない男」として人気の稲垣啓太選手などが引き続き選ばれています。

稲垣啓太選手は3大会連続の選出

新しい顔ぶれとしてはスクラムハーフの齋藤直人選手、22歳のスタンドオフの李承信選手、昨シーズンのリーグワンで新人賞に輝いたセンターの長田智希選手、ことし代表デビューしたフランカーの福井翔大選手らです。

前回はこの多国籍のチームが「ONE TEAM(ワンチーム)」というスローガンのもと一致団結し、ベスト8という成績を残しました。前回よりさらに外国籍選手が増えた日本代表は、主体性を重視した「Our Team(アワチーム)」というスローガンを掲げ、前回を上回るベスト4以上を目指しています。

《追加》★日本はイングランド戦後に代表メンバー1人を入れ替え

第2戦のあと、試合で足を負傷したフルバックのセミシ・マシレワ選手に代わって山中亮平選手(35)が招集されました。山中選手は前回大会にも出場していて、日本代表のベスト8入りに大きく貢献しました。今大会も代表入りが有力視されていましたが、先月の代表発表で33人のメンバーからは外れていました。

山中選手の主なポジションは最後尾に位置するフルバックで、左足からのロングキックが最大の持ち味です。招集を受けた当時、山中選手は世界各国から招待された選手でつくる伝統のクラブチーム「バーバリアンズ」の一員としてヨーロッパに滞在していて、18日にチームに合流しましたが、サモア戦ではメンバー外となりました。

★日本の初戦の試合後会場には「乾杯」のなぜ

日本が勝利したチリ戦のあと、試合会場では長渕剛さんの「乾杯」が流れました。

これに対し、SNS上では驚きの声が…。

「現地、長渕剛の乾杯 流れてない?(笑)」
「なんでフランスの会場に長渕剛の名曲『乾杯』が流れてるんだろうか」

日本ラグビー協会などに確認したところ、日本代表が「乾杯」を流してもらうように大会組織委員会にリクエストしたということです。今後も勝利したあとは試合会場でこの曲が流れる予定だということです。

★日本のジャージには伝統的に桜のエンブレム

ラグビーが試合のときに着るユニフォームは伝統的に「ジャージ」と呼ばれ、ラガーシャツと言われることもあります。

日本代表のジャージは古くから桜のエンブレムがあしらわれていて「桜のジャージ」と呼ばれています。「勇敢な桜戦士」を意味する日本代表の愛称「ブレイブ・ブロッサムズ」が誕生したのもこの桜のエンブレムがあったからこそです。

突進する平尾誠二選手(1995年)

ラグビージャージには「襟」がついているのが通例でした。これは試合が終わったあと「アフターマッチファンクション」と呼ばれる交流会を行うのが通例となっていたからです。その際、ジャージの上にそのままジャケットを羽織るために襟付きになったという話があります。

現在の日本代表のジャージは襟がなくなっているようにみえます。相手につかまれないように改良を重ねる中で今はラインが入っているだけとなりましたが、今でもこの部分を「襟」と呼んでいます。

またワールドカップではユニフォームのメーカー以外の商標などの記載が禁止されるため、スポンサー名などは入りません。左胸に桜のエンブレム、右胸にはワールドカップのロゴが入っています。テストマッチなどで着用するジャージにはスポンサー名が入っていることがあります。

【日本の“セカンドジャージ”は紺色】

1999年大会のウェールズ戦では紺色を着用

相手チームとジャージの色が近くて分かりづらい場合などに着用されるのが「セカンドジャージ」です。日本は伝統的に紺色を基調とした物を着用しています。なお日本代表は大会前に行われた会議での「コイントス」の結果すべて“勝利”したため、1次リーグ4試合すべてで“赤と白”のファーストジャージを着用します

イングランドとアルゼンチンは日本との「カラークラッシュ(色の競合)」を避けるためセカンドジャージを着ることになっています。

=試合・ルール編=

★試合の登録選手の数は?試合時間は?

ワールドカップでの登録人数は先発メンバーの15人に「リザーブ」と呼ばれる控え選手8人のあわせて23人が出場選手として登録されます。

ワールドカップの試合時間は前半40分、後半40分のあわせて80分です。ほかの競技とは違い、ロスタイムやアディショナルタイムと呼ばれる時間はありません。

「タイムキーパー制」が採用されていて、けが人が出たときなどにレフェリーの判断で時計を止めることができます。

前後半40分に達したことは「ホーン」を鳴らして知らせます。そしてホーンが鳴ったあとに、プレーが途切れてしまうと試合終了となります。勝っているチームが、ボールを持っていた場合、タッチラインの外にボールを蹴り出して試合が終わるケースが多くみられます。

逆に負けているチームがボールを保持し、1つのトライで試合が逆転が可能な5点差以内の接戦の場合や、7点差以内の負けであれば勝ち点「1」が追加される「ボーナスポイント」がかかる場面ではなんとかゲームを途切れさせずに攻めようとします。

逆に「ボーナスポイント」が確保できる点差で、これ以上の失点を避けたいと考えた場合は、負けている側がボールを蹴り出して試合を終わらせるケースもあります。

点差がひと桁のような接戦で試合が終盤を迎えた場合は「試合の終わらせ方」にも注目です。

★「アンセム」って?

ラグビーワールドカップでは国歌ではない「アンセム」を歌うチームがいくつかあります。それは国ではなく地域単位で出場しているチームがあるからです。

イギリスはイングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドの4チームに分かれて出場しています。

このうちイングランドのみイギリス国歌を歌うのですが、スコットランドは「フラワー・オブ・スコットランド」、ウェールズは「ランド・オブ・マイ・ファーザーズ」、アイルランドは「アイルランズ・コール」というアンセムを歌います。

アイルランド代表

なおアイルランド代表は「アイルランド共和国」と「イギリスの北アイルランド」の選手で構成されています。

★試合開始直前に“ウォークライ”披露のチームも

強豪、ニュージーランド代表のオールブラックスが試合前に行うのが「ハカ」です。

ニュージーランドの「ハカ」

ニュージーランドの先住民族、マオリの伝統の踊りのひとつで、チームを鼓舞して1つにまとめ、相手を圧倒する狙いがあると言われています。オールブラックスのハカには「カ・マテ」「カパ・オ・パンゴ」という2種類がありますが、どちらが披露されるかは始まるまでわかりません。

こうしたウォークライと呼ばれる伝統の踊りを披露するのは、ニュージーランドだけではありません。

トンガは「シピタウ」、フィジーは「シビ」というウォークライをそれぞれ試合前に行います。日本と1次リーグの第3戦で対戦するサモアも「シバタウ」と呼ばれるウォークライを披露します。

ウォークライを受けて立つ相手チームはハーフウェーラインから後ろに下がらなくてはいけませんが、肩を組んで横一列に並んだり、Vの字に並んでみたりはたまた無視を決め込んだり、などなど対戦相手の選手たちがどのような表情、陣形で受けて立つのかも見どころの1つです。

★ラグビーの「セットプレー」って何?

ラグビーの基本用語の1つに「セットプレー」があります。反則のあとやボールがタッチラインを出たあとなどに決まったルールにのっとって試合を再開させるプレーを指します。

「スクラム」や「ラインアウト」などがセットプレーに該当します。

★「スクラム」はフォワードの“プライドのぶつかり合い”

ボールを前に落としてしまう「ノックオン」やボールを前に投げてしまう「スローフォワード」など、比較的に軽い反則によってプレーが中断した場合に試合を再開させるためのセットプレーが「スクラム」です。背番号1から8のフォワードが両チーム組み合って行います。

フォワードは体が大きく、パワーがある選手が多いため、スクラムで組み合ったときの攻防はラグビーの見どころの1つです。

スクラムを組むにあたってレフェリーは「クラウチ、バインド、セット」とかけ声をかけます。
(1)腰を落とし準備の体勢を取る「クラウチ(crouch)」
(2)最前列の1番と3番(プロップ)が相手選手に触れる「バインド(bind)」
(3)最後に、両チームの選手が組み合う「セット(set)」です。

スクラムを組むこのとき、ボールを投げ入れるのはバックス(BK)の背番号9番、スクラムハーフの役割ですが、ボールがスクラムの中に投入されたあと、密集の中で何が起きているか知っていますか?実はスクラムを押し合うことで、両チームが足でボールを奪い合っているのです。

このとき両チームの最前列の真ん中の2番の選手が「フッキング」と呼ばれる足の動きでボールをかき出す役割を担うため、2番のポジション名は「フッカー」と言います。そしてフッカーによって蹴り出されたボールをナンバーエイトやスクラムハーフが拾い上げてプレーを再開させます。

ボールを投げ入れるタイミングなどはボールを持ったスクラムハーフに委ねられるため、マイボールのチームが優勢とされます。

スクラムは自然と崩れた場合は組み直しになりますが、故意に崩したとレフェリーに判断された場合は「コラプシング」というペナルティーを取られます。コラプシングは重い反則なので、相手ボールのペナルティーキックになります。

コラプシングの判断はレフェリーにとっても難しく、押し負けているチーム側に崩れることが多いため「組み負けていない」という印象を与えておくことが重要です。

今大会に向けて日本は、コーチ陣が中心となって製作したおよそ3トンのオリジナルスクラムマシンを使うなどして、スクラムをさらに強化させてきました。

フォワードのプライドがぶつかり合うスクラムに注目してみてください。

★空中戦「ラインアウト」 なぜ選手を持ち上げるの?

ラインアウトもセットプレーの1つで、ボールがタッチラインを越えて外に出てしまったときに再開するために行うものです。サッカーの「スローイン」にあたります。

フォワードの8人のうち、ボールを投げる「スローワー」を除いた7人でラインアウトを行うことが多いですが、2人以上であれば何人でもよく、人数はマイボールのチームが決めていいことになっています。

反対にボールを持たないチームは、相手チームが決めた人数より多い人数でラインアウトに参加することはできません

ボールを投げる「スローワー」は、2番のフッカーが務めることが主流になっています。スローワーが投げたボールをキャッチする「ジャンパー」は相手より高いほうが有利なので、チームの中でも背の高い4番、5番のロックが務めることが多くなっています。

また、ジャンパーがボールをキャッチできる確率を上げるため、ジャンパーを高い位置に持ち上げる「リフター」という役割もあります。リフターは力の強い1番、3番のプロップが主に務めます。

中継などでは聞こえないかもしれませんが、ラインアウトにはサインがあり、それをコールする人を「コーラー」と呼びます。

ラインアウトは攻撃側は相手にボールを取られないためにサインを出し、守備側はボールを奪うために相手の動きを読むといった駆け引きが行われる場面でもあります。

また、ラインアウトを行わず、ボールを素早く投げ入れてプレーを続けることを「クイックスロー」と呼びます。クイックスローができるケースは限られていますが、セットプレーのラインアウトとは区別されます。

★大会初登場「50:22(フィフティー・トゥエンティトゥ)」って?

「50:22」これをフィフティー・トゥエンティトゥと読みます。2021年に適用になった新しいルールで、ワールドカップでは今大会が初登場です。日本は初戦のチリ戦で松島選手のキックにこのルールが適用されました。

50:22の「50」とは、50メートルライン、すなわち真ん中のハーフウェイラインを指しています。「22」とは、ゴールラインから22メートルの位置に平行に引かれた線、22メートルラインのことです。

自陣から蹴ったボールがバウンドして、相手陣内の22メートルラインより奥でタッチラインに出た場合、ボールが出た地点から“蹴った側”のラインアウトでプレーが再開されます。

これまでは蹴った側とは逆のチームのラインアウトで試合が再開されていたので、逆のボールになるルールに変更されたということです。

このルールが導入された理由は、攻撃のスペースを作り出すことで攻撃側に優位に試合が進むようにすることと、長いキックを蹴ることでボールを受ける選手が危険なタックルをされる可能性を下げるためとされています。

「50:22」の導入によって、長い距離のキックの精度が高いチームに有利になるほか、適用後にマイボールのラインアウトで攻撃が再開することから、ラインアウトの重要性がさらに高まったと言えそうです。

★左右のタッチラインを越える「タッチキック」にも種類が

50:22の理解が進んだところで、基本情報も振り返っておきましょう。

「ボールがタッチを割った」「いいキックになった」こういった実況を聞いたことはありますか?ラグビーはキックで陣地を回復するのが戦い方の1つです。その際、長い辺のタッチラインを「どこで越えたか」「タッチラインを越える前にバウンドしたか」という2点がとても重要になってくるのです。

(1) 22メートルラインより前で「ダイレクトタッチ」
22メートルラインより前(自陣側)から蹴り出した際、ボールがバウンドせず直接ボールがタッチラインを割ったケースです。これは「ダイレクトタッチ」と呼ばれ、蹴った位置に戻されて相手ボールのラインアウトとなるので、キックとしては失敗です。

(2) 22メートルラインより前で
22メートルラインより前(自陣側)から蹴り出した際、ボールがタッチラインを割る前にバウンドしてからラインを越えたケースです。この場合はタッチラインを越えた位置から相手ボールのラインアウトとなり、陣地を取ることができるので、良いキックと言えます。

(3) 22メートルラインより後ろから
22メートルラインより後ろ、22メートル区域もしくはインゴールの位置から蹴り出したケースです。この場合はバウンドの有無にかかわらず、タッチになった地点から相手ボールのラインアウトで再開です。

(例外) ペナルティーの場合
ただし、ペナルティーキックの場合は、蹴った位置もバウンドも関係なく、タッチになった地点から、キックを蹴ったほうのマイボールラインアウトで再開します。このため、ペナルティーをしないことが重要なのです。

★ヘッドコーチは試合中グラウンドに入れない!

ピッチ上で監督が指示を出すサッカーなどとは違い、ラグビーでは試合中、ヘッドコーチはグラウンドに入れません。

グラウンドに入れるのは、リザーブ(控え)の選手を含む23人の選手とケガの手当を行うメディカルスタッフ、それに選手に水を運ぶ「ウォーターボーイ」と呼ばれる給水係などに限られます。

前回大会では、メンバー外になった徳永祥尭選手がウォーターボーイを務め、無線機でヘッドコーチの指示を聞いて選手に伝達するという大きな役割を果たしました。今大会では誰がウォーターボーイを務めるのかにも注目です。

グラウンドにヘッドコーチが入れないということは、試合中はキャプテンを中心とした選手たちが主体性を持ってゲームを進めていかなければいけないということです。

そのため、キャプテンなどのリーダーの存在が大きく影響を与えます。

ラグビー選手がよく口にすることばに「キャプテンシー」というものがあります。キャプテンとしての統率力を指し、例えば前回のキャプテン、リーチ マイケル選手や今大会のキャプテン、姫野和樹選手はそのキャプテンシーを期待され、抜てきされているのです。

こういったことからラグビーにおいてキャプテンは重視される傾向にあり、試合前日の最終調整はヘッドコーチに代わってキャプテンが指揮を執ってきた歴史から「キャプテンズラン」と呼ばれています。

★選手に当たって前に落ちたのに…なぜ反則じゃないの?

このあとの「審判編」の項目で説明していますが、ノックオンは選手がボールを前に落としてしまう反則です。しかし日本とイングランドとの一戦で、「ノックオンか?」と思われたプレーが実はそうではなかったという場面がありました。

それは後半16分。日本が12対13と1点差に迫っていた局面でのプレーでした。イングランドの攻撃でスタンドオフのジョージ・フォード選手がフルバックのフレディー・スチュワード選手にパス。しかし、後ろにボールを弾いたところでプロップのジョー・マーラー選手の頭に偶然、ボールが当たって前に転がりました。

この時、レフェリーの笛は吹かれませんでしたが、選手にボールが当たって前に転がったことで、多くの日本選手は「ノックオンか?」と足を止めてしまいました

しかし相手選手はボールを拾ってインゴールにボールを置き、TMO=テレビジョン・マッチ・オフィシャルによるビデオ判定を経て「トライ」が認められました。

競技規則では「ノックオン」と判定されるのは“手や腕にボールが当たって前に落ちたとき”となっていて、手や腕以外の場所に触れてボールが前に落ちても「ノックオン」にはなりません。「笛が吹かれるまでプレーは続けないといけない」これがラグビーの鉄則でもあります。

=審判編=

★レフェリーの動きがほかの競技と違う?

ラグビーのレフェリーは反則があったりラインアウトになったりした際、その後、ボールを保持する側の陣地の腕をあげることになっています。

反則などを受けたチームが攻撃する方向に腕や旗を向けるサッカーやバスケットボールなどとは逆となります。

レフェリー=主審の“シグナル”で反則の種類がわかる!

レフェリーは反則が起きたときに主に3種類の動きで次のプレーを説明します。ペナルティーキックフリーキックスクラムの3つです。ペナルティーキックは重い反則に与えられるもので、片方の腕を上げ、反則しなかったほうを指します。

重い反則はペナルティーと呼ばれ、レフェリーは長い笛を吹きます。やや重い反則に与えられるのはフリーキックで、シグナルは肘を90度曲げ、反則をしなかったほうを指します。フリーキックではゴールを直接狙うことはできず、タッチに蹴った場合は相手ボールのラインアウトで再開されます。あまり見る機会がない反則かもしれません。

スクラムはノックオンなど軽い反則の場合の際に与えられるもので、ボールを投げ入れる(マイボール)のチームのほうを腕を水平にして指すか、肘を曲げ、両手の指を頭の上でつける動作をします。軽い反則に対してレフェリーは短い笛を吹きます。

【反則いろいろ】
《ノックオン》
ノックオンはボールを持った選手がボールを前に落としてしまう反則です。最も多い反則の1つで、発生した地点で相手ボールスクラムになります。レフェリーは片方の手で次にボールが与えられるほうを指し、もう片方の手のひらを広げ、頭上で腕を前後に振ります。

《スローフォワード》
ボールを持った選手前にパスする反則です。発生した地点で相手ボールスクラムになります。レフェリーはボールを前方にパスするようなジェスチャーをします。

《オフサイド》
オフサイドになるケースはさまざまですが、基本的にはボールより前方にいる選手がプレーに参加するとオフサイドになります。「キックオフサイド」「ラインオフサイド」「ノックオンオフサイド」などがあります。オフサイドの反則があると、相手にペナルティーキックが与えられます。レフェリーは腕をまっすぐに降ろし、オフサイドラインに沿って腕を振る動作をします。

《ノットリリースザボール》
ボールを持って攻撃している選手が、タックル成立後にボールを離さないとノットリリースザボールの反則になります。相手ボールのペナルティーキックになります。両手を胸に近づけ、ボールを抱えるようなジェスチャーをします。

《ノットロールアウェー》
ノットリリースザボールとは反対で、ボールを持った選手にタックルした選手がその場から離れず、相手の妨害をするとノットロールアウェーの反則です。これも相手にペナルティーキックが与えられます。レフェリーは腕と指を回します。

《ハイタックル》
相手プレイヤーの肩より上にタックルする「ハイタックル」にもペナルティーが与えられます。相手ボールのペナルティーキックになります。レフェリーは片方の手を首の前に出す動作をします。

《コラプシング》
故意にスクラムやモールを崩すとコラプシングの反則になります。相手にペナルティーキックが与えられます。相手をつかむ形で両腕を肩に高さに上げます。上半身をひねりながら沈め、相手を引き倒すようなジェスチャーをします。レフェリーによって動きが多少違っていることもあるので、それぞれの特徴を見てみると面白いかもしれません。

★笛を吹かずに主審が片方の腕を伸ばしたら「アドバンテージ」

ラグビーの特徴的なルールの1つが「アドバンテージ」です。

英語で「有利」などという意味ですが、試合の中で反則があっても、その直後に反則していないチーム側がボールを持つなど「有利」に試合を進めている状況であれば笛を吹かず、レフェリーはプレーを継続させます。

その際も、反則がなかったチームの陣地側の腕を伸ばして知らせます。

「アドバンテージ」の時は笛は吹きません

その後、反則しなかったチームがボールを失った場合やレフェリーが判断した場合にアドバンテージは終了し、最初に反則があった位置に戻ってプレーが再開されます。

一方、反則しなかったチームがボールを保持したままプレーが一定程度継続するなど、有利な状況が続いたとレフェリーが判断した場合は、アドバンテージは終わり、プレーはそのまま続きます。

★「VAR」ではなく「TMO」

ラグビーの試合ではTMO=テレビジョン・マッチ・オフィシャルというビデオ判定が採用されています。

サッカーのVAR=ビデオ・アシスタント・レフェリーとほとんど同じものですが、導入されたのはラグビーのほうが先で2003年の第5回大会から運用が始まっています。別室にいるTMOの担当者が、レフェリーの求めに応じて映像を確認することになります。

サッカーのVARと同じく、レフェリーが両手で大きく四角形を描いてテレビのスクリーンのような形を作ったときはTMOが適用される合図です。

TMOがよく使われるケースは、ゴールライン付近でトライを狙った選手の周辺に何人もの選手が集まる「密集」の中で本当にトライとなったかどうかを判定するときです。

トライと判定されるためにはボールが確実に地面につく「グラウンディング」が必要ですが、その確認のほか危険なタックルなど選手の退場や、一時退出=シンビンの判定などの際に使われ、判定が行われている際は試合の時計は止められます。

★悪質な反則は10分間の退場「シンビン」または一発退場も

「ハイタックル」など悪質で危険なプレーや反則を繰り返す選手に対してレフェリーが命じるのが「シンビン」で、10分の間一時退場しないといけません。「シンビン」の語源は英語で「罪」を意味する「sin」と「置き場所」を意味する「bin」を組み合わせた造語です。

シンビンを宣告するとき、レフェリーは「イエローカード」を出します。さらに同じ選手に2枚目のイエローカードが出た場合は退場となります。

シンビンが適用された選手は、フィールド外のハーフライン付近に置かれたイスに座り、10分が経過するのを待たなくてはならず、その間決められた場所から動くことやコーチとの接触は禁じられ、シンビンの選手がいる間は、代わりの選手が入ることはできないため、1人少ない状態で戦わなければなりません。

危険な反則には“即時退場”を意味する「レッドカード」が出されます。シンビンと同じく退場した選手に代わる選手を補充することはできないため、退場者が出たチームは人数を欠いた不利な状態で戦わなくてはなりません。

危険な反則の代表格は選手の肩より上にタックルする「ハイタックル」があげられますが、近年はプレー中の選手の安全性が重視され、厳しい判定になるケースが多くなっています。

★新システム「バンカー」でレッドカードになる場合も

TMOについては今大会から新たなシステムが追加されました。ファール・プレー・レビュー・オフィシャル、通称「バンカーシステム」と呼ばれるこの制度は、レフェリーがイエローカードを出したときに、このプレーに対してレッドカードにする必要があるかどうかの検証を行うものです。

審議中にはテレビ左上 得点表示の上にこの印が

レフェリーがTMOを経てもその場でレッドカードを出すべきか判断がつかないものの、イエローカードの基準を満たしていると判断した場合、レフェリーは「シンビン」を宣告して当該選手は10分間の一時退場となります。

バンカーシステムを使用する際、レフェリーは両腕を頭の上で交差させる動きをします。その後「バンカー」の担当者が8分以内に映像などを確認した上で判定を伝えます。

レフェリーはシンビンを継続して10分が経過したあと復帰させるか、レッドカードを与えて退場させるかを決定します。判定はすべてスタジアムに設置された大型スクリーンなどを通じて観客に伝えられます。これはレフェリーの正確な判断につながるとともに、試合中断時間を短縮することで試合の流れを止めないために役立つとされています。

【すでに適用された選手も】
日本と同じ1次リーグ、プールDの初戦、イングランド対アルゼンチンで早速、バンカーシステムが使用されました。イングランドのフランカー、トム・カリー選手の頭部がアルゼンチンの選手の顔面に激突し、TMOの結果、レフェリーがイエローカードを出して、シンビンとなりました。このあとバンカーシステムによって専任の審判が映像などで検証を行いました。その結果、イエローカードではなくレッドカードと判断され、カリー選手は一発退場となりました。ラグビーの国際統括団体、ワールドラグビーは危険なタックル、特に選手の肩より上にタックルする「ハイタックル」などを厳しく取り締まる傾向が続いています。

【ショットクロックもスタート】
さらにもう1つ、試合のスピードアップを目的に導入されたルールが「ショットクロック」です。トライが決まったあとに行われる「コンバージョンキック(決まれば2点)」のときに「ショットクロック」の時間が表示されるようになりました。コンバージョンキックは規定で90秒以内にキックを行わなければいけなくなり、時間を超えるとキックが「無効」となって、得点は与えられません。

また、相手チームに重い反則があった場合に選択できる「ペナルティーゴール」でも「ショットクロック」が適用され、60秒以内に蹴らないといけません。ペナルティーゴールの場合は時間を超えると相手チームのスクラムで試合が再開します。いずれの場合も「ショットクロック」はスタジアムや中継の映像に残り時間が表示されます。このように4年前の前回大会と変わっている部分もあるので、変化にも注目してみてください。

★“ノーサイド”今は別の呼び方も

ラグビーの試合が終了したときに日本では「ノーサイド」ということばがよく使われます。試合が終わったら、敵も味方も関係なく、お互いの健闘をたたえ合うラグビーの文化を「ノーサイドの精神」と呼んでいます。

ノーサイドということばはかつては海外でも使われていましたが、現在は「フルタイム」という言い方が一般的になっています。

★選手の「キャップ数」って?

前回大会で100キャップ到達のシモンズ選手(豪)

ラグビーでは国際試合のことを「テストマッチ」と呼び、テストマッチへの出場回数を「キャップ」の数で表現します。

キャップとはその名のとおり“帽子”を意味していて、初めてテストマッチに出場した際に「初キャップ」として帽子が贈られることから、テストマッチの出場数をキャップという単位で表しています。

日本の歴代最多キャップは3大会連続でワールドカップの代表に選ばれ、42歳まで現役を続けた大野均さんの98キャップで、今大会のメンバーではリーチ マイケル選手の80キャップ(大会前時点)が最多です。

=ワールドカップ 大会ルール編=

★1次リーグは5チーム総当たり戦 上位2チームが準々決勝へ

ラグビーワールドカップに出場するのは20チームで、1次リーグはプールAからDの4組に分かれ、5チームが総当たりで対戦します。そして、それぞれ上位2チームが決勝トーナメントの準々決勝に進みます。つまり1次リーグを勝ち上がった段階でベスト8となります。

★勝ち点はどう計算?

1次リーグは勝ち点で順位が決まりますがサッカーなどと比べると複雑です。

勝てば勝ち点「4」引き分けは勝ち点「2」負けの場合は「0」です。

ただしこれ以外にボーナスポイントが2つあります。負けた場合でも「7点差以内の負け」であれば勝ち点「1」が追加されます。また勝敗に関わらず、トライを4つ以上あげた場合にはさらに勝ち点「1」が追加されます。

1次リーグの最終戦で勝ち点が並んだ場合、勝ち点が同じチームどうしの対戦で勝利したチーム。それでも決まらない場合は、4試合の得失点差、さらに1次リーグの試合で、奪ったトライ数と奪われたトライ数の差などで順位を決めることになっています。

《更新》★世界ランキングは大会期間中毎試合更新!

世界ランキングは国際統括団体のワールドラグビーが各チームの試合結果をポイントに換算して算出しています。

ランキングは毎週月曜日に更新されていますが、ワールドカップの大会期間中は、各試合を終えるたびに更新されます。今月25日付けで日本は1つ順位を上げ13位となりました。

日本と同じプールDのほかの4チームでは、3連勝のイングランドは6位のまま。23日の試合でサモアに勝ったアルゼンチンが1つ順位を上げて9位に。敗れたサモアは1つ順位を下げて12位。チリは変わらず22位となっています。

1位はアイルランド「6か国対抗」では全勝優勝

大会終了後には最終順位が決まることになっていて、日本の過去最高の順位は、前回大会で1次リーグを4連勝で終えたあとに記録した7位です。

★外国出身選手でも代表入り?

ラグビー日本代表をはじめ各チームには外国出身の選手が多く選ばれています。

これはラグビーが出身地や国籍に関係なく、一定の条件を満たせば代表選手の資格を得ることができるからです。

「国籍ごとの代表」ではなく「各国・地域のラグビー協会の代表」ともいえます。

ワールドラグビーが定めた代表資格の主な条件です。
(1)当該国で生まれている。
(2)両親もしくは祖父母の1人が当該国で生まれている。
(3)プレーする直前まで当該国に一定期間継続して居住している。
これらの条件を1つでも満たせば、代表の資格を得ることができます。

さらに規定が改正されたことで、2022年1月からは、あるチームで代表歴があっても別の代表チームのメンバーとして参加できるようになりました。
(1)代表チームで最後に試合に出場してから36か月以上が経過している。
(2)変更を希望する当該国で生まれているか両親もしくは祖父母の1人が当該国で生まれている。
これらの条件を満たせば、一度だけ代表資格を変更することが認められました。

★歴代優勝チームはわずか4チーム

ラグビーワールドカップは1987年に第1回大会が開かれ、今回が10回目の大会です。テレビの視聴者数などからオリンピックやサッカーワールドカップに次ぐ規模の大会とされています。

過去9回の大会で優勝したチームの一覧です。

最多の3回の優勝を誇るのは「オールブラックス」の名で知られる強豪ニュージーランドと前回大会優勝の南アフリカ。そして2回のオーストラリアと1回のイングランドが続きますが、まだ4チームしか優勝を経験しておらず、今回新たに「5チーム目」が名乗りをあげるのかどうかも注目です。

《追加》=試合会場編=

スタッド・ド・フランス

ワールドカップフランス大会は、フランス国内9か所の会場で試合が行われます。メインとなるスタジアムはパリ近郊、サンドニにあるスタッド・ド・フランスです。1998年のサッカーワールドカップの際に建設され、収容人数がおよそ8万人とフランス最大のスタジアムです。今大会ではフランス対ニュージーランドの開幕戦が行われたほか、決勝トーナメントの準決勝、3位決定戦、決勝などで使用されます。

日本が1次リーグで使用するのは3か所です。スタジアム・ド・トゥールーズ(第1戦チリ戦・第3戦サモア戦)、スタッド・ド・ニース(第2戦イングランド戦)、ナントのスタッド・ド・ラ・ボージョワール(第4戦アルゼンチン戦)で、いずれも地元のサッカークラブのホームグラウンドです。

南部のトゥールーズはラグビーの盛んな都市で、日本は開幕前に現地でキャンプを行い、初戦のチリ戦をスタジアム・ド・トゥールーズで行いました。初戦のあと、日本代表はモナコに移動し、サッカーのフランス1部リーグで日本代表の南野拓実選手も所属しているモナコの施設を練習拠点として使用しました。

そこからフランス第2の都市で、国際的な観光地のニースに移動。スタッド・ド・ニースでイングランドと対戦しました。このあと再びサッカー、モナコの施設を練習拠点として使用し、調整を行いました。このあと日本はトゥールーズに戻り、3戦目のサモア戦は初戦と同じスタジアム・ド・トゥールーズで3戦目のサモアとの戦いに臨みます。

4戦目のアルゼンチン戦で使用するスタッド・ド・ラ・ボージョワールは、フランス西部のナントにあるスタジアムです。フランス大会では、試合を終えると各チームおよそ1週間から2週間の調整期間が与えられて、それぞれのチームはキャンプ地とスタジアムを移動しながら試合に備えています。

=NHK 放送予定=※1次リーグのみ※

※時間は試合開始時間=日本時間
9/29(金)4:00 【日本×サモア】NHKラジオ第1
10/1(日)0:45 【フィジー×ジョージア】NHK総合 BS4K
10/8(日)20:00 【日本×アルゼンチン】 NHKラジオ第1