“ゲームプレー動画を無断で投稿” 被告に有罪判決 仙台地裁

ゲームをする様子を動画投稿サイトで配信する「ゲームプレー動画」などを著作権を持つ会社に無断でYouTubeに投稿したとして著作権法違反の罪に問われたウェブクリエイターに対し、仙台地方裁判所は「著作権者に大きな金銭的被害をもたらす可能性があり、法を無視した自分本意な考えは強い非難に値する」などとして執行猶予の付いた有罪判決を言い渡しました。

名古屋市のウェブクリエイター、吉田忍被告(53)は、令和元年から去年までの間に東京にある会社が著作権を持つアドベンチャーゲーム「STEINS;GATE比翼恋理のだーりん」の物語のあらすじや結末がわかる動画など、3本の動画を動画投稿サイトYouTubeで無断で配信したとして著作権法違反の罪に問われました。

7日の判決で、仙台地方裁判所の中村光一裁判官は、「作品の商品価値を失わせるなど著作権者に大きな金銭的被害をもたらす可能性があり、法を無視した自分本位な考えは強い非難に値する。収益を得ていることも軽視できない」などと指摘しました。

一方で、「犯行を認め、自分の認識の甘さを反省している」などとして懲役2年、執行猶予5年、罰金100万円を言い渡しました。

適切な配信はゲーム業界にメリットも

ゲームの制作者は、今回の事件のように「ネタバレ」の配信が続けばゲーム文化の衰退につながると懸念する一方で、適切な配信は、業界にもメリットが大きいと話しています。

数多くのアドベンチャーゲームなどを手がけてきたイシイジロウさんは、「ゲームの売り上げによって次回作が出るかどうかが決まるため、ストーリー性のあるゲームはネタバレ動画が配信されることでプレーヤーの購買意欲が下がり10年や20年の単位で市場が縮小してしまわないかと懸念している」と話していました。

一方で、「アクションゲームなどは、配信することによってゲーム文化を広げるなどメリットが大きいので、適切な配信でゲーム界が盛り上がるよう今回の事件を機会にして配信のあり方を正してほしい」と話していました。

“個人でリスク管理の徹底を”

著作権の問題に詳しい弁護士は、メーカーが配信者に向けてガイドラインを設けている中、禁止事項を含んだ動画の配信は、著作権法に違反するとして罪に問われる可能性があるとしたうえで、個人でリスク管理を徹底するよう呼びかけています。

著作権の問題に詳しい中島博之弁護士は、「ゲーム実況は『どんなものでもアップロードしてよい』と考える人や、『ほかの人も配信しているから大丈夫』と考える人もいるが、今回の事件のようにガイドラインを無視すれば摘発されることもある。禁止されていることや判断に迷う配信は行わず、自分自身でリスクを管理するべきだ」と指摘しました。

そのうえで、「今回の事件をきっかけにゲームプレー動画の世界がよりガイドラインを守る方向に働くことを期待したい」と話していました。