ジャニーズ事務所 記者会見 性被害を訴えてきたメンバーは

ジャニーズ事務所の記者会見について、性被害を訴えてきたメンバーはどのように受け止めているのか。会見に対する反応をお伝えします。

橋田康さん「大きな一歩」

ジャニーズ事務所の会見を受けて、前社長から性被害を受けたと訴える元タレントの橋田康さんがNHKの取材に応じました。

橋田さんは1998年に事務所に入り、13歳の頃にジャニー喜多川氏から性被害を受けたと訴えていて、同様の被害にあった人たちのための相談窓口を設置するなどしてきました。

事務所の会見が終わったあと、NHKの取材に応じた橋田さんは、会見で事務所がジャニー氏による性加害を初めて認めたことについて、「新しい社長と前の社長がこの問題と向き合い、はっきりと事実認定をして謝罪をしてくれたことは大きな一歩だと思う。会見では被害者の救済や対話がいつからどのような形で始めるのか、『法の枠を超えて』というのがどのような内容なのか明確化したほうが、もう少しいろんな人たちが納得したのではないか」と話していました。

また、藤島ジュリー氏の後任として東山紀之氏が社長に就任することについて、「『命をかけて取り組む』と言っていたが、ちゃんとした結果を出さなければそのことばがうそになってしまう。タレントを引退して社長として立つ覚悟を決めてくれた以上、ことばどおりの行動をしていってほしい」と述べました。

その上で、「今回の問題について東山氏は『人類史上最も愚かな事件だ』と言っていたが、この問題を海外のメディアが最初に大きく報道したことから分かるように、世界からはそう思われているとみんなが自覚する必要がある。こういうことが再び起きないように、メディア関係者や芸能プロダクションの関係者も含めて、過去を払しょくできるよう進んでいくための努力をしていかないといけない」と話していました。

二本樹顕理さん「ジャニーズと聞くと過去の被害体験が」

会見を受けて、元タレントの二本樹顕理さんが大阪市内で報道各社の取材に応じました。二本樹さんは13歳の時にジャニーズ事務所に入り、活動を始めてまもなくジャニー喜多川氏から性加害を受けということです。

7日の会見で事務所がジャニー氏による性加害を初めて認めたことについて、二本樹さんは「正式に事実認定をし、被害者への謝罪や救済措置についても触れられたことは大きな一歩だ」と話しました。

その上で、「具体的に補償や救済にむけてどういった動きをしていくか明らかにされていない印象だった。事務所がどんな人事体制になろうとも、私たちは被害者たちの救済を最優先としたい。これを事務所に訴えたい」と述べました。

一方で、ジャニーズ事務所の社名を変更しないという方針については「事務所を退所してからも『ジャニーズ』ということばを聞くと、過去の被害体験がフラッシュバックしていた。ほかの被害者にもそうした人がいると思う。性加害を行った本人の名前を掲げ続けるのはいかがなものか」と話していました。

当事者の会「非常に稚拙で準備不足の会見」

ジャニー喜多川氏からの性被害を訴えてきた「ジャニーズ性加害問題当事者の会」のメンバーは都内で会見を開きました。

平本淳也代表は「事務所の会見で最も評価できるのはジュリー氏が登壇したことだ。原稿を見ずに自身のことばとして発言したと思う。今後どのように進んでいくのか、まだ手放しで喜べる状態ではないが、当事者の会のメッセージや要請をくんでほしい」と話しました。

一方で、新たに社長に就任した東山紀之氏が性加害について、「うわさだと信じていた」などと話したことについては、「違和感があることは確かだ」と述べました。

イギリスの公共放送BBCの番組で性被害を証言したハヤシさんは「謝罪のことばがあったことはありがたく思った一方で、納得いかない部分も多々あった。言えないこともあるとは思うが、いまだに『うわさでしか聞いたことがない』ということばがでてくるのが不思議で仕方がない」と述べました。

会の副代表の石丸志門さんは「非常に稚拙で準備不足の会見だったという印象がある。ただ、繰り返し求めてきた事実認定、謝罪、救済の3つが認められ、道が開けた点は評価している。実務経験を積んでいないタレントを矢面に立たせることは危機管理能力を疑わざるをえず、ガバナンスが機能していないのではないか」と指摘しました。

アイドルグループ「忍者」のメンバーだった志賀泰伸さんは「これだけの性的虐待が行われていたのだから、ジャニーズ事務所という名前も変えるべきだと思う。取り引きがあるメディアもなぜ長期間にわたり黙殺してきたのか、誰がそうしてきたのか、ジャニーズ事務所と同様に調査する義務があると思う。クリーンな日本社会、実力社会の芸能界になってほしい」と訴えました。

当事者の会 性加害認め謝罪に「よし」

「ジャニーズ性加害問題当事者の会」のメンバー9人は都内に集まり、事務所の会見を伝える中継をモニターを通して見つめました。

午後2時からの会見で藤島ジュリー氏と所属タレントの東山紀之氏、井ノ原快彦氏が登壇すると、メンバーからは驚きの声が漏れていました。

そして、会見の冒頭でジュリー氏がジャニー喜多川氏による性加害があったという認識を示し謝罪すると、「よし」、「夢を見ているようだ」という声があがりました。
一方、東山氏が「性加害のことを知っていたか」という質問に対して、「うわさだと信じていた」と答えると、平本淳也代表は「残念だ」と漏らしていました。

当事者の会のメンバーは真剣な表情で時折メモをとったり、うなずいたりしながら会見の内容に聞き入っていました。

街の人「悪い部分は直して」「責任とるのが筋」

ジャニーズ事務所の会見について東京 渋谷で聞きました。

所属グループのファンクラブに加入していたという50代の女性は「社長が責任をとりけじめをつけて辞めるのはいいと思う。事務所がつぶれてほしいとまでは思わないが、悪い部分は直し、正常な芸能界になってほしい。被害者に対して精神的なケアや金銭的な補償をしてほしい」と話していました。

また、30代の男性は「よくないことをしているため謝ることは当然で、人間として当たり前の対応だと思います」と話していました。

現在もファンクラブに加入しているという60代の女性は「事務所として責任をとるのが筋だと思います。たくさんの所属タレントを抱えているため、子どもたちを守れるような会社になってほしいです」と話していました。