“ウクライナ部隊の前進遅い 欧米は継続支援不可欠”英研究所

ウクライナ軍が反転攻勢の作戦を始めて3か月となるなか、イギリス王立防衛安全保障研究所は最新の戦況を分析した報告書を発表しました。このなかで、ウクライナ側は、兵士などの消耗を避けようと部隊が前進するペースは遅いとした上で、欧米側は、来年にかけても継続的な軍事支援を行うことが不可欠だと訴えました。

イギリス王立防衛安全保障研究所は4日、ウクライナ軍がことし6月から始めた反転攻勢の作戦について分析した報告書を発表しました。

このなかでウクライナ軍の戦術について「損失を小さく抑えつつ、ロシア軍の陣地を奪還している」として、兵士や兵器の消耗を避けようとしていると分析しています。

このためウクライナ軍の部隊が前進するペースは、5日間でおよそ700メートルから1200メートルほどと遅く、こうしたことがロシア軍に土地を取り返す余地を与えているとしています。

その上でロシア軍について「地雷原の幅を当初の120メートルから500メートルまで広げて、ウクライナ軍が迅速に陣地に侵入できないようにしている」と指摘し、戦況に応じて戦術を適応させているとしています。

そして「ロシアは、冬には反転攻勢が一時停止することを期待し、ウクライナ全土のインフラの破壊を再び試みる可能性が高い」と分析しています。

報告書では、今後の見通しに関連して、「ウクライナが長期的に優位になるには、今、投資することが重要だ。タイムリーな支援を怠れば、来年には大きな代償を払うことになるだろう」と指摘し、欧米側は、来年にかけても継続的な軍事支援を行うことが不可欠だと訴えました。