旧統一教会に「過料」科すよう東京地裁に通知 文科省

旧統一教会をめぐる問題で文部科学省は、質問権の行使に対し教団が適切に回答していないとして、行政罰の過料を科すよう7日午後、東京地方裁判所に通知し、受理されました。
今後、裁判所が過料を科すことが妥当かどうか、判断することになります。

文部科学省は、旧統一教会に対しこれまで質問権を7回行使し、組織運営や献金など、500余りの項目について報告を求めてきたものの、100項目以上で回答を拒否しているとして、7日午後、行政罰の過料を科すよう東京地方裁判所に郵送で通知しました。

宗教法人法では、質問権の行使にあたり適切に回答しなかった場合は代表役員に対し10万円以下の過料を科すことができると定められていて、文部科学省は6日、宗教法人審議会で「違反の程度は軽微でない」として、過料を科すよう求める方針を示し、委員から「相当だ」という意見が出されていました。

東京地方裁判所は文部科学省が出した通知を受理し、今後過料を科すことが妥当かどうか判断することになります。

過料が命じられた場合は不服を申し立てることができ、教団は「質問に毎回、真摯(しんし)に回答してきた。過料は認められない」などと徹底的に争う考えを示しています。
一方、解散命令請求については、文部科学省は質問権の行使に区切りをつけ、これまでの回答内容や元信者らへの聞き取りなどで積み上げた情報をもとに、請求の判断に向け、本格的な検討に入る方針です。

松野官房長官「文科相が法律に基づき適切に対応」

松野官房長官は午前の記者会見で「今後の対応について予断を持って答えることは控えるが、『報告徴収・質問権』は必要があれば行使するものと承知している。文部科学大臣が、法人の客観的な事実を明らかにするための丁寧な対応を着実に進め、法律に基づき適切に対応する」と述べました。

元信者や信者家族“解散されないかぎり被害者は救済されず”

通知を前に、7日午前、国会内で立憲民主党や共産党の議員が参加して会合が開かれ、元信者や信者の家族からオンラインで聴き取りを行いました。

多額の献金被害を訴える元信者の女性は、今回の過料の通知について「教団が誠実に対応していないことがよくわかる」と指摘しました。

また、元妻が信者で、多額の献金被害で家庭が崩壊したと訴えている橋田達夫さんは「教団が解散されないかぎり、被害者は救済されない」と訴え、政府に対し、教団への解散命令を早急に裁判所に請求するよう重ねて求めました。

これに対し、文化庁の担当者は「過料の通知は、あくまで質問権への不報告に対するもので、解散命令請求とは独立した手続きだ。解散命令請求の条件が整い、情報が十分と判断すれば、過料の決定がなくても、必要な法的対応をとる」と述べました。