スポーツ

姫野和樹 リーチ マイケル 新旧キャプテンが挑むラグビーW杯

「今のチームは前回のチームより倍強い」

ラグビー日本代表、リーチ マイケル選手は自信を示している。

ラグビーワールドカップ フランス大会は日本時間の9日の未明に開幕する。日本代表の初戦、チリ戦は10日の午後8時から。いよいよ本番が迫ってきた。

日本代表の新旧キャプテン、姫野和樹選手とリーチ マイケル選手。

前回大会で日本を史上初のベスト8に導いた立て役者が、今回、立場を変えて大舞台に臨む。
(スポーツニュース部 記者 小林達記)

姫野和樹 情熱のキャプテン

4年前のワールドカップ日本大会で、ボールを奪いにいく「ジャッカル」を世に広めた姫野選手。

今大会は、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチにキャプテンに任命された。

ワールドカップに向けてフランス入りした際、熱い思いを語っていた。

姫野和樹選手(フランス入り会見)

姫野和樹選手
「僕を信じて任命してくれたジェイミーの期待に男として応えたい。これから生きるか死ぬかの戦いが待っている。そこで必要なのは自分の命を懸けるぐらいの覚悟です。キャプテンとして自分たちを信じて、みんなを信じて信念を持って戦いたい」

自分を支える姫野ノート

姫野選手を支えるのが、タブレットに書き込む「姫野ノート」の存在だ。

練習や試合での目標を書いたり、自信をなくしたり落ち込んだりしたときに書いて、みずからを奮いたたせる。

姫野選手が今シーズン初めて共同キャプテンを務めた7月15日のAll Blacks XV戦。

熊本で行われたこの試合の前夜、河川敷に出向いてキャプテンに対する熱い思いを記していた。

「姫野ノート」

“明日は日本代表のキャプテンとしてグラウンドに立つ。
こんなに光栄なことはない。
歴史ある日本代表のキャプテン。
必ず責任を果たさなければならない。
Teamを勝利に導くのはオレだ!!”

“情熱、愛情、誰よりも体を張る、誰よりも走る”

“先頭に立ってずっと戦い続けよう!!”

“明日はもっと強くなれる。情熱を爆発させよう!!”

書くことで頭がすっきりするという姫野選手。

ワールドカップ期間中も、きっと姫野ノートが活躍しているはずだ。

追いかけてきたリーチの背中

リーダーとして成長を見せる姫野選手だが、実は2年前、多くの犠牲を払って日本代表の活動を続けることに前向きになれない時期があった。

そのときの思いをこう語っている。

姫野和樹選手
「代表に行ってたくさんお金がもらえるわけでもないし、代表に行って自分の時間がなくなる。シーズン終わってすぐに代表活動に入って1年中ラグビーしているような感じだし…」

そんなとき、気づきを与えてくれたのが前回まで2大会連続でキャプテンを務めたリーチ マイケル選手だった。

そのリーチ選手とのやりとりをみずからの著書の中で明かしている。

姫野和樹選手
「なんでリーチは、そんなにも代表にモチベーションがあるんですか?」

姫野選手が尋ねると、リーチ選手は短く答えた。

リーチ マイケル選手

リーチ マイケル選手
「俺は日本を強くしたい」
「ただ、それだけ」

姫野和樹選手
「そのときに男は理屈じゃないんだなって思いましたね。すごく理屈で考えていた自分が恥ずかしくなりました。かっこいいなと思いました。男だなと」

リーチ選手の背中を追いかけ、ワールドカップに向けてキャプテンに就任した姫野選手。

チームのために情熱を注ぐ姿は、日本の伝統として引き継がれている。

前回大会を上回る結果を目指す今大会、姫野選手のキャプテンシーに注目が集まる。

姫野和樹選手
「グラウンドでベストなプレーヤーであること、ベストな人間であること、そして自分の持っている情熱、愛情をチームに注いで表現するところが自分のリーダーシップ。それをしっかりとやっていきたい」

リーチ マイケル 日本を背負う男

姫野選手が背中を追いかけてきた男は、ことし35歳を迎える。

史上初のベスト8を果たした前回大会は、あくまで通過点。

リーチ マイケル選手は、はっきりとその先を見据えている。

リーチ マイケル選手
「前回大会はチームとしての目標は達成したけど、僕の中ではそこで終わりじゃなくてもっともっと行きたかった。ベスト8という目標はナンセンス。だから大会が終わったときに複雑な感情がありました」

ラグビーブームが巻き起こった2019年の日本大会。

丸の内でのパレード(2019年12月)

しかし周囲の盛り上がりをよそに、リーチ選手は結果に満足していなかった。

だからこそ2023年にかける思いがあった。

ところが、先には試練が待っていた。

股関節やひざ、足首など、体のあらゆるところに痛みが生じ、手術の回数が増えていった。

そのときの状態は現役引退を真剣に考えるほど深刻なものだった。

リーチ マイケル選手
「2020年、2021年と本当に最悪でした。どんな状態かというと、練習をどうやってサバイバルするかという感じ。練習や合宿で痛みと闘ってどう生き残るだけを考えていました。横断歩道の青信号が点滅するじゃないですか。急がなきゃいけないのに走ることができない。本当に地獄でした」

みずから地獄と表現したけがの時期。

それでもワールドカップで雪辱を果たしたいという思いがリーチ選手を突き動かしていた。

その後、手術やリハビリなど時間をかけて現在の状態に戻し、今では「絶好調」といえるほどまでになった。

8月15日の代表メンバー発表会見では、ここまでの歩みを振り返った。

リーチ マイケル選手
「本当に不調でまさかここまで復活すると思っていなかった。手術したあとになかなかやりたいプレーができなくて、ラグビーを引退、やめようと思っていました。それでもどうにかして頑張ってここまで来られたことは本当に奇跡だと思います」

7月のテストマッチでは、危険なタックルで2試合の出場停止処分を受けたが、その後イタリア戦で復帰。

イタリア戦(2023年8月)

雪辱を果たすワールドカップにはなんとか間に合った。

長くチームを見てきたからこそ言えることがある。

リーチ マイケル選手
「今のチームは前回のチームより倍強い。優勝をねらっているというのは前からぶれてないです。ワールドカップに行ったら必ず結果を出せると信じています」

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