知床観光船沈没事故 甲板員の遺族が国に1億円余の賠償求め提訴

去年4月、北海道の知床半島沖で観光船が沈没した事故をめぐり、国が行った船の検査が不十分だったとして、亡くなった甲板員の遺族が国に1億円余りの賠償を求める訴えを起こしました。

去年4月、北海道の知床半島沖で観光船の「KAZU 1」が沈没した事故では20人が死亡、6人が行方不明になっています。

調査した国の運輸安全委員会は、船の前方のハッチのふたが十分に閉まっておらず、そこから海水が流入したなどとする経過報告書を公表し、国土交通省は事故の3日前に国に代わってこの船の検査を行っていた日本小型船舶検査機構に対し、ハッチの検査が不十分だったなどとして業務改善指示を出しました。

当時甲板員として乗船して亡くなった曽山聖さん(当時27)の両親は4日、「おろそかな検査で船を合格させた結果、事故が発生した」として、国に1億800万円余りの賠償を求める訴えを東京地方裁判所に起こしました。

国土交通省は「訴状が届いておらず、コメントを差し控える」としています。

両親はこのほか、運航会社の「知床遊覧船」と社長に対して、合わせて1億1000万円余りの賠償を求める訴えを起こしています。