警察官「おい、名前言えるか?」
被告「青葉」
警察官「下の名前は」
被告「真司」
警察官「生年月日は?」
被告「昭和53年5月16日」
警察官「なんでやった? 言わなあかんで。頑張れ」
被告「パクられた」
警察官「なにを?」
被告「小説」
警察官「なにで火つけたんや?」
被告「ガソリン」
警察官「どこで手に入れた?」
被告「ガソリンスタンドだよ」
警察官「どこの?」
被告「覚えてない」
警察官「ここまでなにで来た?」
被告「歩き」
警察官「家は?」
被告「さいたま」
警察官「なにで火をつけた?」
被告「チャッカマン。何度も言ってるだろ」
警察官「どこで手に入れた?」
被告「ホームセンターだよ」
警察官「どこの?」
被告「覚えてない」
警察官「一人暮らしか?」
※法廷のモニターでは「うなずく」と文字で補足説明。
警察官「あそこ(火をつけた場所)は知ってる場所か?」
被告「しらねーよ」
警察官「関係ないところをやらんやろ?」
被告「お前ら全部知ってんだろ」
警察官「頑張って言え。言う責任がある」
被告「パクりまくったからだよ」
警察官「なにを」
被告「小説を。全部知ってるんだろ」
警察官「どこに住んでんの? ガソリンどれくらいまいた? 頑張って言え」
(※音声はここで終わる)。
【音声詳細】京アニ事件 “小説をパクられた”音声 法廷で再生
「京都アニメーション」のスタジオが放火され、社員36人が死亡した放火殺人事件の裁判で、2日目の6日、事件直後、青葉真司 被告(45)が取り押さえられた際に「小説をパクられた」などと叫んでいた音声が法廷で再生されました。
再生されたおよそ3分間の音声データの内容です。
公開された音声データの詳細
裁判2日目 “小説をパクられた”音声 法廷で再生
青葉真司 被告(45)は、4年前の2019年7月、京都市伏見区の「京都アニメーション」の第1スタジオでガソリンをまいて火をつけ、社員36人を死亡させ、32人に重軽傷を負わせたとして殺人や放火などの罪に問われています。
5日から京都地方裁判所で裁判員裁判が始まり、被告は起訴された内容を認める一方、被告の弁護士は、責任能力はなかったとして、無罪を主張しています。
検察は「京アニにアイデアを盗まれたと一方的に思い込んだ筋違いの恨みによる復しゅうだった」と主張していて、被告の責任能力の有無や程度が最大の争点となっています。
2日目の6日も、証拠調べが行われ、青葉被告は車いすに乗り、青い上着を着てマスク姿で入廷し法廷では、事件直後に現場近くで取り押さえられた被告が警察官と交わしたやりとりの音声データが再生されました。
音声では、被告が警察官から「なぜやったのか」と聞かれると「パクられた」「小説」と叫び、さらに「おまえら全部知ってんだろ、パクりまくったからだよ」などと話していました。
音声はおよそ3分にわたって再生され、青葉被告は法廷のモニターをじっと見ていました。
一方、傍聴席では、涙を流す人の姿もみられました。
また、京都アニメーションの作品と被告が書いたとする小説との比較も行われ、アニメで描かれた学校の様子や買い物の場面など、合わせて3つのシーンについて、被告が自分の小説にも同じような描写があると供述していることが明らかにされました。
被告が“盗まれた”と主張する3つのシーン
被告がアイデアを盗まれたと主張する3つのシーンについて、検察は、法廷のモニターで京都アニメーションの実際の作品の映像を流しながら捜査段階の供述と比較する形で説明しました。
▽1つ目は、アニメ作品「Free!」の中で登場する高校の校舎に掲げられた垂れ幕についてです。
垂れ幕には「祝 水泳部地方大会進出」と書かれていますが、一部が風でめくれた瞬間、「水泳部」の下に「柔道部」という文字が見え、登場人物が「明らかにゆるゆるですね」と話すシーンがあります。
これに対し被告は、自分が書いた小説で「期限のすぎた垂れ幕が校舎にかけられた場面があり、校風の自由さを表現した」と供述しています。
▽2つ目は、アニメ作品「ツルネ」で買い物をする場面です。
肉をかごに入れようとした友人に対し、主人公が「2割引のものがある」と話して別の商品を買うよう勧めるシーンがあります。
これに対し、被告は、自分が書いた小説に「ヒロインが50%割引の総菜を買いあさるシーンがある」と供述しています。
▽3つ目は、アニメ作品「けいおん!」で、ヒロインが後輩の夢の中で「わたし留年したよ」と言うシーンです。
これに対し被告は、自分の小説に「主人公の男子高校生が担任の先生から『このままだと留年だぞ』と言われる場面がある」と供述しています。
裁判員や裁判官は、こうした比較を通して、アイデアを盗まれたとする被告の主張について、判断していくとみられます。
7日からは、被告本人への被告人質問が行われる予定です。