中国とASEAN首脳ら 南シナ海でのルール策定へ 議論加速を確認

中国の李強首相はASEAN=東南アジア諸国連合の首脳らと会議を行い、一部の加盟国との間で領有権争いが続く、南シナ海での紛争防止のためのルールを早期に策定するよう今後、議論を加速させることを確認しました。

インドネシアの首都ジャカルタで開かれているASEANの一連の首脳会議では6日、日本の岸田総理大臣や、韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領らがASEAN側と個別に会議を行いました。

このうち中国の李強首相との会議では、一部の加盟国と中国が領有権や権益を巡って対立する南シナ海について、紛争を防ぐためのルール「行動規範」について話し合われ、20年以上にわたり協議が難航してきた中でルールを早期に策定するよう今後、議論を加速させることを確認しました。

会議のあと、議長国インドネシアのルトノ外相は「加盟国のほぼすべての首脳が信頼醸成が必要だと訴えた。地域の平和と安定を構築するためには信頼を維持することが重要だ」とASEANの立場を強調しました。

また、中国と領有権を争うフィリピンのマルコス大統領は「すべての海洋での活動は国連海洋法条約にもとづくと主張し続ける。フィリピンとしては法の支配と平和的な紛争の解決のために取り組むことを再確認する」と発言し、海洋進出を強める中国をけん制しました。

一方、中国外務省によりますと、李首相は「ASEANと手を携え、この地域の平和と安定を守っていく。南シナ海の行動規範の交渉についても積極的に進めていく」と会議の中で発言したとしています。

米 ASEANと連携強化を強調

一方、アメリカとASEANとの首脳会議にはハリス副大統領が出席しました。

ハリス副大統領は冒頭「アメリカは東南アジアを初めとするインド太平洋地域に絶え間なく関与し続けていく。われわれの同盟や連携は双方の安全や繁栄につながる」とあいさつし、連携を一層強化していきたいという考えを強調しました。

また、官民をあげて経済分野などで交流を促進するための組織「アメリカASEANセンター」をアメリカの首都ワシントンに設立することも発表しました。

ASEAN各国では中国の影響力が強まっていますが、バイデン政権としては巻き返しを図り、中国に対抗したい考えです。