伊ベネチア 観光客数を抑えるため入場料徴収へ 1日5ユーロ

「水の都」として知られる世界有数の観光地、イタリアのベネチアは、増えすぎた観光客の数を抑えるため、日帰りの観光客を対象に1日に5ユーロの入場料を試験的に徴収する計画を発表しました。

これはベネチア市が5日、発表したもので、来年から、観光客がピークとなる春や夏などの30日間を目安に、旧市街を訪れる日帰りの観光客から1日に5ユーロ、日本円でおよそ790円を試験的に徴収する計画です。

徴収した入場料は観光客の管理のために使うとしていて、具体的な徴収方法などについては、今後決めるとしています。

ユネスコの世界文化遺産にも登録されているベネチアは、中世の町並みや美しい運河が人気ですが、住民の数をはるかに上回る観光客が世界中から押し寄せ、環境への悪影響などが懸念されています。

ベネチアをめぐって、ユネスコは観光客の著しい増加が観光地に負荷を与える「オーバーツーリズム」への対策が不十分だなどとして、価値が失われるおそれがある「危機遺産」に登録するかどうかの審議を、今月の委員会で行う予定で、今回の発表は改善に向けた対策をアピールする狙いもありそうです。

ベネチアではさまざまな意見

ベネチアの地元住民や訪れた観光客からは、市の方針に好意的な受け止めが聞かれる一方、観光客に負担を求める方針に疑問を示す声も聞かれました。

ベネチアに住む40代の女性は「過度な観光客に対して何か対策が必要で、まずは対策を始めてみて、そこから修正していくことが大事だ」と述べ、市の方針に賛同していました。

ポーランドから訪れた20代の男性は「ベネチアの観光の問題は前から知っていたし、5ユーロはそこまで高くないので、美しい街を守るためなら良い金額だと思う」と述べ、理解を示していました。

一方で、アルゼンチンから訪れた40代の女性は「確かに街の環境は悪化しているし、維持にお金はかかると思うが、観光客に対して入場料を設けることが適切なのかは疑問だ」と述べ、観光客への負担を懸念していました。