タイ貢献党中心の新政権が発足 軍に近い保守政党と大連立

ことし5月に総選挙が行われたタイで、タクシン元首相派のタイ貢献党中心の新政権が発足しました。

タイ貢献党は長年対立してきた軍に近い保守政党と大連立を組み政権に返り咲きましたが、先行きには不透明感が漂っています。

タイでは5月の総選挙のあと政治空白が続いてきましたが、5日、タイ貢献党のセター新首相や閣僚がワチラロンコン国王の前で宣誓を行い、新政権が発足しました。

9年前の軍事クーデターで政権を追われたタイ貢献党は、長年対立してきた軍に近い保守政党など11の党で大連立を組み、セター首相が財務相を兼務するほか、外相や国防相など主要閣僚のポストを確保しました。

一方、軍に近い保守政党もエネルギー相や工業相などのポストを獲得し、一定の影響力を確保しました。

記者会見したセター首相は「今こそ結束し、経済や政治、社会のすべての問題について政権が対処する時だ」と述べました。

タイ貢献党は選挙で第1党となった民主派政党「前進党」を排除し、軍に近い政党と手を組んで政権に返り咲きましたが、民主派の支持者は「選挙で示された民意を反映していない」と反発しているほか、各政党の立場に隔たりがあり、政権の先行きには不透明感が漂っています。

また先月、事実上の亡命生活から15年ぶりに帰国したあと収監され、恩赦により禁錮8年から1年に減刑されたタクシン氏の政治的な影響力がどうなるかも注目されています。