クラスター爆弾死傷者 去年1100人余に増 大半がウクライナ国内

殺傷能力が高いクラスター爆弾による死傷者が、去年1年間に1100人余りと大きく増加したとする報告書を国際的なNGOなどが発表しました。死傷者の大半はロシアによる軍事侵攻が続くウクライナ国内で出ていて、NGOはアメリカがウクライナにクラスター爆弾を供与したことについても、民間人の被害を広げるとして批判しています。

国際的なNGOなどでつくる連合体「クラスター弾連合」は、クラスター爆弾による攻撃や不発弾によって、去年1年間に世界で少なくとも1172人が死傷したとする報告書を発表しました。

これはおととしの死傷者の7倍以上で、2010年に統計を始めて以来最も多く、このうち95%が民間人だということです。

国別ではロシアによる軍事侵攻が続くウクライナで少なくとも890人と最も多く、ロシア側が繰り返し使用しているうえ、アメリカからクラスター爆弾の提供を受けているウクライナ軍も使用したと指摘しています。

このほかにも、内戦が続くシリアやミャンマーでも軍が攻撃に使用して死傷者が出ているということです。

小型の爆弾が飛び散るクラスター爆弾は殺傷能力が高いうえ多くの不発弾を残し民間人に被害を及ぼすことから生産や使用を禁止する国際条約があり、日本など110か国以上が参加していますがアメリカやロシアなどは参加していません。

報告書をまとめたNGOは、アメリカがウクライナにクラスター爆弾を供与したことについても「民間人に犠牲を強いるもので、誰がどのような状況で使用したとしても非難されるべきだ」として、直ちに使用をやめるよう各国に訴えています。