政府 水産物の輸入停止めぐり 中国に即時撤廃求め討議を要請

中国が日本産の水産物の輸入を全面的に停止したことに対し、政府は日中両国が参加する経済連携の枠組み、RCEP=「地域的な包括的経済連携」の協定に基づき、即時撤廃を求めて討議の要請を行いました。

福島第一原発にたまる処理水の海への放出が始まったあと、中国は日本産の水産物の輸入を全面的に停止しました。

これに対し、政府は一貫して即時撤廃を求めてきましたが4日、日中両国が参加するRCEPの協定に基づいて、中国に対し討議の要請を行いました。

RCEPでは今回のような措置をとる国に対し、関係国が撤廃を求めて2国間の討議を要請できます。

中国が討議に応じるかどうかは不透明ですが、政府としては、こうした取り組みなどによって、輸入停止の撤廃を粘り強く働きかけるとともに国際社会に処理水の放出の安全性に対する理解を得たい考えです。

また中国は、先月末にWTO=世界貿易機関に食品の安全性などを守るための措置だとして、輸入停止を通報していて、政府はこの通報についても「全く容認できない」として、即時撤廃を求める反論の書面をWTOに提出したことも明らかにしました。

松野官房長官「国際社会の理解と支持を求める」

松野官房長官は閣議のあとの記者会見で「きのう、WTO=世界貿易機関に中国の主張に反論する書面を提出しWTOのメンバーに回覧された。また日中両国が締結しているRCEP=「地域的な包括的経済連携」の協定の規定に基づく討議の要請も行った」と述べました。

そのうえで「政府としては、引き続き科学的根拠に基づく丁寧な情報提供を通じ、国際社会の理解と支持を求めるとともに、中国に対して日本産食品の輸入規制の即時撤廃を求めていく」と述べました。