ゼレンスキー大統領 国防相を交代させると発表 事実上の更迭か

ウクライナのゼレンスキー大統領は3日、レズニコフ国防相を交代させると発表しました。ウクライナでは国防省での汚職疑惑が伝えられていて、事実上の更迭とみられます。

ゼレンスキー大統領は3日夜、動画を公開し「レズニコフ氏は550日以上にわたって本格的な戦争に向き合ってきた。国防省には新しいやり方や軍や社会との新たな関係が必要だと思う」と述べ、レズニコフ国防相を交代させると発表しました。ウクライナでは国防省による制服の調達をめぐる汚職疑惑などが相次いで伝えられていて、事実上の更迭とみられます。

ゼレンスキー大統領は後任に国有財産基金のウメロフ総裁をあてるとしていて、新たな人事は議会に諮られ、正式に決まることになります。

レズニコフ氏はウクライナ西部のリビウ出身で旧ソビエト時代に空軍の空てい部隊に所属したあと大学で法律を学び、弁護士などを経て、おととし国防相に任命されました。欧米各国との連携を深め、防空システムや戦車といった軍事支援を引き出すなどロシアによる軍事侵攻の対応では中心的な役割を果たしてきました。

ウクライナ側の反転攻勢が続く中での要職の交代となり、今後の影響が注目されます。

レズニコフ氏とは

レズニコフ氏はウクライナ西部リビウ出身の57歳。旧ソビエト時代に空軍の空てい部隊に所属したあと、大学で法律を学びました。法律事務所を経営するなどしたあとキーウの市議会議員などを務め、3年前にゼレンスキー政権で副首相に任命され、おととし国防相に就任しました。

ロシアによる軍事侵攻が続く中、欧米各国からウクライナへの軍事支援を引き出す役割を果たしてきました。各国の国防相らと連携を深め、ドイツにあるアメリカ軍の基地で行われてきた支援会合などを通じて欧米製の戦車や防空システムの供与などにつなげてきました。

ことし5月に欧米各国がF16戦闘機の供与に向けて支援を表明した際には、SNSに「サンタクロースは実在したようだ」と投稿し、喜びをあらわにしていました。また、軍事侵攻の当初にはロシア側との停戦交渉にあたっていましたが、交渉は決裂しました。

レズニコフ氏はことし1月、NHKとのインタビューで「ロシアがウクライナの領土から軍を撤退させたあとで交渉の席に着くことができる」と述べ、ロシアに対し妥協しない姿勢を示していました。

松野官房長官「ウクライナの取り組みを支持 引き続き支援」

松野官房長官は午前の記者会見で「他国の内政に関わることであり、政府としてコメントすることは差し控える」と述べました。

その上で「汚職対策は法の支配に基づく社会を実現する前提となり、あらゆる経済活動の基盤となるものであり、今後ウクライナが復興する過程でも極めて重要だ。先般のG7広島サミットや司法大臣会合でも必要な制度の構築など、ウクライナの取り組みを支持すると表明しており、引き続き支援していく」と述べました。