沖縄 辺野古工事めぐる裁判 午後に判決へ 県敗訴確定の見通し

沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設計画で大きな焦点となっている裁判の判決が4日、最高裁判所で言い渡されます。名護市辺野古での軟弱地盤の改良工事を承認しない県に対して国が行った「是正の指示」が違法かどうかについて判断が示され、辺野古への移設に反対してきた県の敗訴が確定する見通しです。

普天間基地の移設先となっている名護市辺野古沖では、区域全体の7割ほどを占める埋め立て予定地の北側で軟弱地盤が見つかり、国が地盤の改良工事を進めるため設計の変更を求めましたが、県が「不承認」としたため工事が進んでいません。このため国土交通省は去年、地方自治法に基づき県に承認を求める「是正の指示」を行い、県は取り消しを求める訴えを起こしました。

この裁判について最高裁判所は、4日午後3時に判決を言い渡します。判断を変更する際に必要な弁論を開かないため、県の訴えを退けた福岡高等裁判所那覇支部の判決が確定する見通しで、県は国の指示に従い工事を承認する義務を負うことになります。

沖縄 玉城知事「判決を静かに待ちたい」

沖縄県の玉城知事は4日朝、県庁に登庁した際、記者団に対し「判決を静かに待ちたい」と述べました。

そして今後の対応について、判決文を受け取ったあと、担当部局や弁護士と検討する考えを示しました。

周辺の住民は

周辺の住民からは「地域振興のために工事を進めるべきだ」という意見や「自然を今のまま残したいので工事を進めてほしくない」といった声が聞かれました。

このうち辺野古に住む玉利朝輝さん(64)は、両親が60年以上前に地元に開いた飲食店を継ぎ、地区の商工会の理事も務めています。玉利さんは条件付きで移設を容認していて「県も移設を容認し名護市と一緒になって国との交渉を強めさまざまな地域振興を図ることが辺野古だけでなく県全体のためにもなるはずだ。工事を進め、将来の子どもたちのために予算を確保してもらいきれいなまちづくりを進めていきたい」と話していました。

一方、辺野古沖から4キロほど離れた名護市安部に住む比嘉敏光さん(72)は工事が進めばその一部が埋め立てられる大浦湾で、釣りなどを楽しんできたといいます。比嘉さんは移設に反対の立場で、「いまさら国の方針は変えられないし諦めもあるが、子や孫たちに自然を今のまま残してほしいという気持ちがある。経済発展につながるかもしれないが失われるものもあり、埋め立てはやっぱり嫌だ」と話していました。