女子高飛び込み 金戸 男子板飛び込み 伊熊 初優勝 日本選手権

飛び込みの日本選手権は2日目の2日、女子高飛び込みの決勝が行われ、20歳の金戸凜選手が、来年のパリオリンピックの代表に内定している荒井祭里選手を破って、この種目で初優勝を果たしました。

飛び込みの日本選手権は、来年、カタールで行われる世界選手権の代表選考を兼ねて、3日までの3日間の日程で、宇都宮市で開かれます。

大会2日目の2日は、女子高飛び込みの決勝が行われ、予選トップの金戸選手が、およそ1年前に手術した左ひざの状態が万全ではないなか、きれいな入水で得点を重ねていきました。

最後の5回目には、後ろ向きに踏み切り、1回半宙返りしながら3回半ひねる大技「5237D」を決めて、82.50の高得点をマークし、合計330.65で、この種目で初優勝を果たしました。

来年のパリオリンピックの代表に内定している22歳の荒井選手は、322.30で2位となり、大会7連覇はなりませんでした。

金戸選手と荒井選手の2人は、日本水泳連盟が定めた条件を満たして、来年の世界選手権の代表に内定しました。

また、男子板飛び込みの決勝では19歳の大学生、伊熊扇李選手が、高さのある演技を見せて合計476.45をマークし、初優勝を果たしました。

一方で、来年の世界選手権の代表には、予選と決勝の得点の平均による条件を満たした、2位の須山晴貴選手と、3位の坂井丞選手の2人が内定しました。

金戸「自分ひとりの力じゃない」

女子高飛び込みで初優勝した金戸選手は去年9月の練習中に左ひざのじん帯を断裂するなどの大けがを負ってその後、手術しました。

歩くのも痛い状態が続いたということですが、量を抑えながら練習をこなし、現在は「飛べる最低限のところまできた」ということです。

金戸選手は「この舞台に間に合わせてくれたトレーナーや病院の方、家族やコーチには感謝しかない。こういう結果が残せたのも自分1人の力じゃないと、けがをして日々思っている。支えてくれた人に、演技で恩を返せたことがよかった」と感謝を口にしました。

そして「けがからのこの11か月は本当にしんどくて、仲間の試合を座って見ていると、『何でけがをしたんだろう』と思う日々だった。それでも体が回復して飛べるようになって、つらい日々を乗り越えて今がある。やっと先がちょっと見えたな、という感じだ」と話していました。

今回の結果で、来年の世界選手権の代表に内定し、「パリオリンピックに向けては、世界選手権がラストチャンスになるので、今回出た課題を克服して、もっといい状態で迎えられるようにしたい」と先を見据えました。

荒井「日本一取れなくて悔しい」

女子高飛び込みで2位となり、大会7連覇を逃した荒井祭里選手は「うまく安定して飛べたかなとは思うが、ずっと日本一を取っていたので、取れなかったことが悔しい。連覇を続けていくことはプレッシャーでもあったが、そのプレッシャーの中でもしっかり演技を見せられるように頑張りたい」と涙を浮かべて話しました。

代表に内定しているパリオリンピックまでの準備については、「前のオフシーズンは足が痛くてトレーニングできなかった。オフシーズンの体作りがいかに大切かわかったので、しっかりトレーニングをして、オリンピックに合わせていきたい」と話していました。

また、練習拠点が同じで、今大会で現役を引退する寺内健選手について「引退するのはさみしいが、先輩として誇りに思っている。健君のようにはうまくいかないとは思うが、しっかりいい競技者になっていきたい」と話していました。