“インスリンの働きに腸内細菌の一種関わっている” 理研など

血糖値を下げるホルモン「インスリン」の働きに腸内細菌の一種が関わっていることを理化学研究所などのグループがつきとめ、糖尿病の新たな治療法の開発などにつながる成果として注目されています。

この研究は理化学研究所や東京大学などのグループが国際的な科学雑誌「ネイチャー」で発表しました。

グループでは、体重や血液検査などの指標から糖尿病のリスクが高いとされた人などおよそ300人に協力してもらい、腸内細菌の種類や便に含まれる物質の種類、そしてインスリンの状態などを詳しく分析しました。

その結果、「アリスティペス属」などの腸内細菌が多い人では、ほかの種類の腸内細菌が多い人に比べてインスリンの働きが良くなっていることが分かったということです。

さらに、肥満状態のマウスにこの腸内細菌を投与したところ、投与しなかったマウスに比べて血糖値が20%余り下がることも確認できたということです。

グループによりますと、「アリスティペス属」の腸内細菌はインスリンの働きを妨げるブドウ糖などの糖類を活発に消費することで、インスリンが働きやすい体内の環境を作り出しているとみられるということです。

理化学研究所の大野博司チームリーダーは「将来的には、この腸内細菌を増やすことで、糖尿病になりそうな状態を食い止めることができる可能性がある」と話していました。