「関東大震災」前後の企業情報まとめた資料の詳細な分析進める

10万人以上が犠牲になった『関東大震災』では経済も甚大な被害を受けました。震災前後の全国4万社以上の企業情報をまとめた資料が分析されないまま民間の信用調査会社に残されていることがわかり、会社は専門家と共同で資料の調査を進め、GNPの4割近くに達した被害の検証や今後の災害対策に役立てることになりました。

1923年9月1日に発生した関東大震災では地震による激しい揺れや東京や横浜などで発生した大規模な火災、さらには土砂災害や津波などにより10万5000人余りが犠牲となりました。

経済的な被害も甚大で、内閣府によりますと、被害額は55億円以上と当時のGNPの37%に達し、2011年の東日本大震災のGDPのおよそ3%と比べると被害の甚大さがわかります。

民間の信用調査会社「帝国データバンク」は1912年から、企業の設立年や業種、住所や資本金などの情報を収集していて、震災前年と翌年の全国4万社以上の企業情報が分析されないまま残されていることがわかりました。

資料には「材木店」や「せっけん製造」などといった業種のほか、決算情報、本店の住所、起業した時期も記されていて、これまでの調査では、東京と神奈川県、埼玉県、千葉県、山梨県では復興による需要増加で、震災前と比べ企業の数が15%増えていたことがわかりました。

ほかにも、震災後には移動手段の確保のため、自転車関連の企業が増えたほか、印刷や出版の会社の起業が相次ぐなど、情報に対する需要が高まっていたことなどもうかがえます。

帝国データバンクでは甚大な被害や復興に至る実態を検証して、今後の災害対策に生かすため、震災前後の起業や廃業の推移のほか、需要の動向など、資料の詳細な分析を進めることになりました。

分析にあたり助言をしている立命館大学の北原糸子客員研究員は「個別の企業の記録を合わせることで経済全体の動向が分かるのではないか。企業が大災害で一時的に大きなショックを受けた時にどう対応していくのか、そのノウハウも探ることができる気がする」と話しています。