子連れの市議 一般質問の抽選 参加認められず 愛知 豊橋市議会

愛知県豊橋市の女性の市議会議員が、定例会で一般質問をするための順番を決める抽選に子どもを連れて参加することが認められず、質問の機会を失いました。女性市議によりますと、子どもが熱を出していたため、やむをえず連れてきたということです。

豊橋市の諸井菜々子市議は先月30日、今月4日に始まる9月定例会の一般質問の順番を決める市役所での抽選をめぐり、子どもが熱を出したとして、子連れで参加できないか、抽選開始のおよそ15分前に近藤喜典議長に相談しました。

これに対し、近藤議長が副議長と議会事務局、それに諸井市議と話し合いましたが、議会運営委員会の決定事項で参加できないことになり、諸井市議は質問の機会を失いました。

近藤議長などは1日午後、市役所で会見を行い、抽選への参加を認めなかったことについて、本人が事故や病気などで参加が難しい場合は代理出席が認められるものの、今回は子どもだったこと、子どもの病気として議会運営委員会などで協議することはできたが、相談が直前で時間がなかったことなどを理由としてあげました。

近藤議長は「諸井議員には納得してもらっている。今後も遠慮なく相談してもらいたい」と話していました。

一方、諸井市議は「率直に残念で、質問をしたかったという気持ちはあるが、ルールがある中で精いっぱいの対応というのは客観的事実として理解できる。今後は子育てをしている議員が活動しやすい土壌作りを含めて、臨機応変な体制になってほしい」と話していました。

豊橋市議会では子育て世代が参加しやすい議会運営のあり方について、今回のケースも含め検討を進めていくとしています。

専門家「ルールの見直しなど改善を進めてほしい」

地方議会に詳しい椙山女学園大学の大木直子講師は「子育て中の女性議員に起こりうるような事例に、臨機応変に対応できていなかったことに驚くとともに残念に感じた。女性議員が増えるなか、急に子どもの預け先や付き添いの人が見つからない可能性はある。周りがサポートしたり、オンラインで抽選に参加できたりする仕組みができればいいと思う」と話していました。

そのうえで、「子育てだけではなく、介護や看病のケースもある。それぞれの地方議会で議員のニーズを聞きながら、どのような状態でも仕事をきちんとできる環境を作るため、ルールの見直しなど改善を進めてほしい」と話していました。