海水から下限値程度のトリチウム 東京電力 “安全上問題なし”

東京電力は、福島第一原子力発電所にたまる処理水の放出を始めたあと毎日行っている海水の分析で、検出できる下限の濃度とほぼ同じ1リットルあたり10ベクレルのトリチウムを初めて検出したと発表しました。東京電力は「安全上問題はなく計画通り放出できている」としています。

東京電力は、福島第一原発にたまるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水を、海水で薄めるなどして海への放出を始めた先月24日以降、原発から3キロ以内の海域で毎日海水を採取し、トリチウムの濃度を分析して公表しています。

このなかで東京電力は、31日に採取した10か所のうち、処理水の放出口にもっとも近い200メートルほど北側の地点の海水から、1リットルあたり10ベクレルのトリチウムが検出されたと発表しました。

毎日行っている迅速分析では、1リットルあたり10ベクレル程度が検出できる下限の濃度となっていて、放出開始以降、下限値を超えてトリチウムが検出されたのは初めてです。

いっぽう、残り9か所の海水は下限値未満でした。

また、1日は放出開始当日に採取した海水について、下限値を下げるため時間をかけて分析した結果も発表し、同じく200メートルほど北側の地点の海水から1リットルあたり2.6ベクレルの濃度のトリチウムが検出されたということです。

東京電力は放出の停止を判断するレベルを1リットルあたり700ベクレルとしていますが、今回検出された値はいずれもこれを大幅に下回っていて、東京電力は「安全上問題はなく、計画通り放出できている」としています。