福島 原発事故の除染土再生利用“国民の理解と信頼必要” IAEA

東京電力福島第一原発の事故に伴う除染で出た土の再生利用について、ことし5月に現地視察を行ったIAEA=国際原子力機関は、中間報告を公表し「2045年までに福島県外での最終処分を完了させるためには、国民の理解と信頼が必要だ」と指摘しました。

東京電力・福島第一原子力発電所の事故の除染で出た土について、環境省は放射性物質の濃度が基準を下回ったものを公共工事などで再生利用する方針です。

IAEAはことし5月に除染の専門家が福島県を訪れて中間貯蔵施設や再生利用に向けた実証事業などを視察し、その結果の中間報告を1日公表しました。

報告書では中間貯蔵施設について「現時点においては、除去土壌は、適切に保管されていると推測する」としたほか、福島県内で行われている農地での除去土壌の再生利用の実証事業について「安全に実施されている」と評価しました。

そのうえで「2045年までに福島県外での最終処分を完了させるためには、再生利用についての国民の理解と信頼が必要だ」と指摘しています。

IAEAは来年には最終報告書をまとめる方針です。

実証事業をめぐり去年12月、国は福島県外では初めて、東京の新宿御苑や埼玉県所沢市で実施する方針を示しましたが、地元の住民などの反対を受け開始のめどが立っていません。

報告書について西村環境大臣は「除去土壌の再生利用や最終処分については、国民の理解醸成に加えて、国際的な情報発信が重要だと認識している」と話していました。