「内閣感染症危機管理統括庁」発足 岸田首相が職員に訓示

感染症対策を一元的に担う司令塔となる「内閣感染症危機管理統括庁」が1日発足し、岸田総理大臣は職員に対し、将来の感染症の流行に備えて、関係者が一丸となって取り組むよう訓示しました。

1日発足した「内閣感染症危機管理統括庁」は、新型コロナ対応をめぐって病床確保の遅れなど課題が指摘されたことを教訓に、感染症対策を一元的に担う司令塔として設けられました。

発足式には岸田総理大臣が出席し、みずからが揮ごうした看板を新たに担当となった後藤感染症危機管理担当大臣とともに部屋の入り口にかけました。

このあと岸田総理大臣は、職員に対し「この3年余りの新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、関係機関での訓練や必要な物資の確保など、次の感染症危機に万全の備えを構築してほしい。統括庁は政府の感染症危機管理のいわば扇の要にあたる組織であり、結束して一丸となって取り組んでほしい」と訓示しました。

統括庁では来週、専門家などによる会議を開き、新型インフルエンザなどの政府の行動計画について、これまでのコロナ対策を踏まえて見直す作業に入ることにしています。

「内閣感染症危機管理統括庁」とは

「内閣感染症危機管理統括庁」は、感染症の発生時に迅速な意思決定ができるよう内閣官房に置かれ、感染症対策を一元的に担う司令塔として、政府全体の取り組みの総合調整などを行います。

組織の発足に伴い、担当大臣には後藤大臣が就任し、代わりにこれまで務めてきた新型コロナ対策担当の任務は解かれることになりました。

また、組織のトップとなる「内閣感染症危機管理監」には事務の官房副長官の栗生俊一氏が就きました。

平時には38人の専従職員が訓練や各府省の準備状況の点検などを担うほか、緊急時には他の省庁との兼任も含めて300人態勢で対応に当たることになります。

組織の発足に合わせて、専門家などをメンバーとする「新型インフルエンザ等対策推進会議」は規模を縮小するなど体制が見直され、会議のもとに置かれた新型コロナ対策の「分科会」は廃止されました。

松野官房長官「感染症危機に迅速・的確に対応」

松野官房長官は閣議のあとの記者会見で「内閣感染症危機管理統括庁は感染症危機への対応に係る司令塔機能を強化し、次の感染症危機に迅速、的確に対応できる体制を整えるために設置されたものであり、その目的を果たすために取り組んでいきたい」と述べました。

その上で「政府行動計画については新型コロナ対応の経験を振り返りつつ、昨今、強化された感染症対策や制度改正を反映するとともに、平時からの備えを着実に進めることができるよう検討していく必要があると考えており、今後、専門家の意見も伺いながら見直しの検討を進めていきたい」と述べました。