関東大震災 当時の地震計を解析 揺れ幅 東京で最大2倍超か

100年前の関東大震災について当時の地震計の記録を専門家がデジタル技術などを活用して解析した結果、東京では揺れ幅がこれまで考えられていたよりも大きく、最大で2倍以上に達していた可能性があることがわかりました。

1923年9月1日、神奈川県西部を震源とするマグニチュード7.9の地震が起き、死者・行方不明者は10万5000人余りにのぼりました。

当時、東京帝国大学には地震計が複数ありましたが、激しい揺れで地震計の針が振り切れたため、複数の研究者が復元を試みてきました。

このうち、地震工学が専門で東京工業大学の翠川三郎名誉教授と、早稲田大学の山田眞名誉教授、広島大学の三浦弘之准教授は、レコードのように回転する円盤型の地震計が比較的多くの記録をとどめていたことに着目し、新たに見つかった文献をもとにこれまで考えられていた円盤の回転の速さを見直すとともにデジタル技術を活用して波形を精密に解析するなどして当時の揺れを推計しました。

その結果、揺れ幅は過去にほかの複数の研究者が推計したよりも大きく、最大で2倍以上に達し、大学があった場所では震度6弱相当に及んでいた可能性があることが分かりました。

また、長くゆっくりとした「長周期地震動」も起き、建物の1階部分では端から端までの揺れ幅が最大で1メートル20センチに達した可能性があるということです。

「長周期地震動」は建物の高層階を大きく揺らし、柔らかい地層で揺れが増幅される特性があるため、同じような地震が起きた場合50階建てのビルではおよそ2メートル揺さぶられ、埋め立て地が広がる東京や神奈川などではさらに揺れが大きくなる可能性があるとしています。

翠川名誉教授は、「関東大震災をもたらしたような地震は過去に繰り返し発生していて今後も起こるとされている。この100年の間に東京をはじめ首都圏は高層ビルも増えたため、揺れを抑える構造を採用したり家具の転倒防止を徹底したりするなど、対策をとっていく必要がある」と話しています。