「PFAS」各地で高濃度検出 健康影響の研究を本格化へ 環境省

一部の物質で有害性が指摘されている有機フッ素化合物の「PFAS」が各地の河川や地下水などから高い濃度で検出され、住民に不安が広がっていることなどを受けて、環境省はPFASの健康影響についての研究を本格化させる方針です。

環境省によりますと、PFASの一部の物質について、アメリカなどの研究では、発がん性や子どもの成長への影響が指摘されていますが、国内では、いまだ十分な科学的知見がないとしています。

こうした中、環境省がとりまとめた令和3年度の自治体の調査では、13都府県の81地点の河川や地下水で暫定的な目標値を超える濃度のPFASが検出されるなど住民の不安が広がっているとして、環境省はPFASによる神経発達や生殖、それに免疫系への影響のほか、発がん性などについて本格的に研究を進め、健康影響を未然に防ぐ対策を進める方針です。

環境省は研究を踏まえて、飲み水などのPFAS濃度を1リットル当たり50ナノグラムとする現在の暫定的な目標値の妥当性の検討などを進めるとして、来年度予算案の概算要求に5億円を盛り込んでいます。

浄水器や活性炭など除去対策進める自治体も

岐阜県各務原市はことし7月、市民の半数に水道水を供給している水源地で、有害性が指摘されているPFASの一部の物質が国の暫定的な目標値の最大で2倍以上の濃度で検出されていたことを公表しました。

公表後、PFASの除去対策を進めてほしいという保護者などからの要望を受け、各務原市と県は該当する水源地の配水地域にあるおよそ50の小中学校や保育所などで、一部の水道の蛇口に合わせて700ほどの浄水器を設置しました。

市は効果について水質検査を行い、近く結果を公表する予定です。

市によりますと、住民から、自分の家の水道水の水源地を尋ねる質問や健康への影響などに関する問い合わせが1か月間でおよそ1000件寄せられたということで、市は水源地に活性炭を設置したり、新たな浄水施設も建設したりしてPFASの除去対策を進める方針です。

各務原市は「活性炭以外にも除去対策の手法があるのかや人体への影響について、国には技術的な助言や財政面での支援などをお願いしたい」としています。