経営難の鉄道路線 輸送密度1000人未満の区間優先で協議会設置

経営が厳しい鉄道路線について、再構築を議論する協議会を国が設置できるよう法改正されたのを受け、国土交通省は協議会の運用方針を明らかにしました。当面は、1日に平均何人を運んだかを示す「輸送密度」が1000人未満の区間を優先して協議会を設置するなどとしています。

全国の地方鉄道は、人口減少や新型コロナの影響で利用客が落ち込み、多くの路線で赤字が続いていて、自治体や鉄道事業者からの要請で、交通手段の再構築を議論する協議会を、国が設置できることを盛り込んだ改正法が、ことし10月施行されます。

これを前に国土交通省は31日、協議会などの運用方針を明らかにし、このなかで協議会の設置の対象は当面「輸送密度」が1000人未満の区間を中心に、早急な改善が求められる区間を優先するとしています。

協議会のメンバーは、地方公共団体や鉄道事業者に加え、沿線住民や学識経験者、高齢者や障害者を含む利用者、地元企業、病院、学校、観光事業者なども地域の実情を踏まえて選任するとしています。

協議の結果、バスなど、ほかの交通手段に転換される場合でも、JR各社などは、地域の移動手段を長年担ってきた経緯を踏まえ、持続的な運行や利便性の確保に向け、十分に協力すべきだとしています。

この協議会をめぐっては、JR西日本が広島県と岡山県を結ぶ芸備線の一部区間について、すでに設置を要請する方針を示しています。