北朝鮮軍 総参謀部 戦術弾道ミサイル2発発射と発表

北朝鮮軍は首都ピョンヤン近郊で30日夜、「戦術核打撃訓練」を行い、戦術弾道ミサイル2発を発射して空中爆発させたと発表しました。アメリカ軍と韓国軍が30日、合同軍事演習の一環としてB1爆撃機を参加させて実施した空軍の共同訓練への対抗措置だとしています。

北朝鮮軍の総参謀部は31日付けの朝鮮労働党機関紙「労働新聞」などを通じて、戦術核運用部隊が30日夜、ピョンヤン近郊の国際空港で「戦術核打撃訓練」を行い、戦術弾道ミサイル2発を北東方向へ発射したと発表しました。

訓練は韓国軍の指揮拠点と、作戦で使われる空港を戦術核で焦土化することを想定したもので、目標とした島の上空、高度400メートルで空中爆発させたとしています。

「労働新聞」には、迅速に発射できる固体燃料式とみられるミサイルが滑走路に置かれた移動式発射台から発射され、島の上空で爆発する様子を捉えた写真が掲載されています。

北朝鮮軍は発表で、米韓両軍が30日、合同軍事演習の一環としてアメリカ軍のB1爆撃機を参加させて実施した空軍の共同訓練への対抗措置だとしたうえで、「軽挙な妄動を絶対に座視しない」と強くけん制しています。

韓国軍は北朝鮮が30日夜遅く、ピョンヤン近郊のスナン(順安)付近から日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射したと明らかにしていて、北朝鮮の発表はこのミサイルを指すとみられます。

日米韓高官が電話協議

外務省の鯰アジア大洋州局長は31日、アメリカ国務省のソン・キム北朝鮮担当特別代表、韓国外務省のキム・ゴン(金健)朝鮮半島平和交渉本部長と電話協議を行いました。

この中で3氏は、30日夜の発射を含め、北朝鮮が前例のない頻度と新たな方法で発射を行っていることは地域の安全保障にとって重大で差し迫った脅威で、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦だという認識を共有しました。

そのうえで、抑止力や対処力の強化、国連安全保障理事会での対応や同志国との協力を含めた連携などについて、3か国で緊密に連携することを確認しました。

松野官房長官「破壊措置命令を継続して必要な体制を維持」

松野官房長官は記者会見で、「一連の北朝鮮の行動はわが国の地域および国際社会の平和と安全を脅かすもので、断じて容認できない。北京の大使館ルートを通じて厳重に抗議し、強く非難した」と述べました。

そのうえで、「北朝鮮が10月に衛星の打ち上げを再度、実施する旨を発表していることなどを踏まえれば、今後も北朝鮮から弾道ミサイル技術を使用した発射が強行される可能性がある。破壊措置命令を継続して必要な体制を維持し、情報の収集、分析および警戒監視に全力を挙げる」と述べました。