中国不動産最大手 9800億円の赤字 ことし6月までの半年の決算

中国の不動産最大手「碧桂園」は、ことし6月までの半年間の最終損益が日本円でおよそ9800億円の赤字に転落したことを明らかにしました。不動産市場の低迷が長引き、関連する企業の業績悪化が深刻になっています。

中国の不動産最大手「碧桂園」は30日夜遅く、ことし6月までの半年間の決算を発表しました。

それによりますと、最終損益が黒字だった去年の同じ時期から一転して、489億人民元、日本円でおよそ9800億円の赤字となりました。

これは不動産市場の低迷による販売不振や、開発中の物件の評価額を引き下げたことなどが主な要因です。

碧桂園は中国広東省に本社を置く、去年の住宅販売額首位の業界最大手で、「恒大グループ」が経営危機に陥った際も財務状況は比較的健全だと見られてきました。

しかし、不動産市場の低迷が長期化したことで業績が急速に悪化し、一部の債券について利払いが遅れるなど、資金繰りも厳しくなっています。

中国の不動産業は関連産業も含めると、GDP=国内総生産の4分の1程度を占めるとされるだけに、企業の業績悪化が深刻になる中、中国経済の先行きに対する懸念が強まっています。

「碧桂園」とは

「碧桂園」は中国広東省に本社を置く民間の不動産開発会社で、去年の住宅販売額で首位の業界最大手です。

1992年に創業し、北京や上海といった大都市だけでなく、「三線都市」、「四線都市」と呼ばれる地方の中小都市での開発にも力を入れてきました。

中国国内の不動産価格が上昇を続ける中、利益は少なくても、素早く大量に販売する、いわば「薄利多売」のビジネスモデルで急成長してきました。

会社のホームページによりますと、おととし12月末時点で、中国国内で3000以上にのぼる開発プロジェクトを手がけているということです。

ここ数年は、アメリカの経済誌「フォーチュン」の売上高に基づく世界の企業500社の番付にランク入りしています。

経営危機に陥っている「恒大グループ」が事業の多角化を進めていたのとは異なり、不動産専業で、財務状況も業界内では比較的健全だと見られてきました。

しかし、不動産市場の低迷が長引き、特に主力の地方の中小都市で需要が落ち込んで、不動産価格が下落する中、業績とともに、一部の債券について利払いが遅れるなど、資金繰りも急速に悪化。

専門家の間では、恒大グループよりも規模が大きい碧桂園が経営危機に陥れば、地方政府のさらなる財政悪化につながりかねず、中国経済に与える打撃は大きいという見方が出ています。