アフリカ中部 ガボン 軍の将校らが権力掌握を宣言 混乱広がる

親子で50年以上にわたって大統領が政権を維持してきたアフリカ中部のガボンで、軍の将校らが権力を掌握したと宣言しました。将校らは現職の大統領が3回目の当選を果たした選挙の結果も無効にするとしていて、混乱が広がっています。

ガボンで30日、軍の将校らが国営テレビを通じて声明を発表し、権力を掌握したと宣言しました。

これに先立って30日、ガボンの選挙管理当局は、先週26日に行われた大統領選挙で現職のボンゴ大統領が3回目の当選を果たしたと発表したばかりでした。

アフリカ有数の産油国、ガボンでは、ボンゴ大統領が1967年から大統領を務めていた父親と合わせて、親子で56年間にわたる長期政権を維持してきました。

将校らはボンゴ政権を「無責任な統治によって社会状況を悪化させた」と非難していて、選挙結果についても「透明性に欠けていた」として無効にするとしています。

ロイター通信などは、首都リーブルビルで激しい銃声が聞こえたと伝えていて、混乱が広がっています。

アフリカ中部や西部ではここ数年、各地でクーデターが相次いでいて、ことし7月にはニジェールで、欧米寄りだった大統領が軍の部隊によって排除されています。

EU=ヨーロッパ連合の外相にあたるボレル上級代表は30日、「再びクーデターが起きたとすれば、この地域全体がさらに不安定化する。ヨーロッパにとっても大問題だ」と述べ、懸念を示しました。

国連 グテーレス事務総長「断固として非難する」

ガボン情勢について国連のグテーレス事務総長は30日、報道官を通じて声明を出し、「選挙後の危機を解決する手段として進行しているクーデターの試みを断固として非難する」として、軍事クーデターに強く反対すると強調しました。

そのうえで、すべての関係者に対し自制と対話を求めるとともに、法の支配と人権を尊重するよう呼びかけました。

松野官房長官「在留邦人の安全確保に万全を期していく」

松野官房長官は記者会見で、「ただちに在留邦人に、不要不急の外出を控え、身の安全を確保するよう注意喚起を行ったが、これまでのところ生命や身体に被害が及んでいるとの情報には接していない。引き続き、情報収集に努めるとともに、緊張感を持って在留邦人の安全確保に万全を期していく」と述べました。

そのうえで、「今後の情勢の推移を注視するとともに、関係国や国際機関と緊密に連携しつつ、民主主義の定着を含め平和と安定に向けたアフリカ自身の取り組みを引き続き、力強く後押ししていく」と述べました。