燃料高騰 首相 補助金拡充表明 ガソリン 1リットル175円程度に

来月末までとなっている燃料価格の負担軽減策をめぐり、岸田総理大臣はガソリンの小売価格が1リットル当たり175円程度に抑えられるよう、補助金を拡充する方針を明らかにしました。同じく来月末が期限の電気やガス料金の負担軽減策も当面続ける方針です。

岸田総理大臣は30日、自民党の萩生田政務調査会長や公明党の高木政務調査会長らと総理大臣官邸で相次いで会談し、来月末までとなっている燃料価格の負担軽減策について提言を受けました。

このあと、岸田総理大臣は記者団に対し、与党の提言を踏まえ、全国平均で1リットル当たり185円台となっているレギュラーガソリンの小売価格が175円程度に抑えられるよう、石油元売り各社への補助金を拡充する方針を明らかにしました。

新たな措置は来月7日に発動した上で、買い控えなどの流通の混乱を避けるために段階的に拡充し、ことし10月中には目標の175円程度の水準を実現したい考えで、年内は継続するとしています。

また、冬の暖房に不可欠な灯油のほか、農業や漁業に広く使われる重油なども同様に支援を継続していくとしています。

岸田総理大臣は「まずは今回の措置を年末まで講じるとともに、国際的なエネルギー価格の動向などを注視しながら、必要な対応を機動的に考えていきたい」と述べました。

さらに、同じく来月末が期限の電気や都市ガス料金の負担軽減策についても、物価高に対応する追加の経済対策を実施するまでの間、続ける方針を示しました。

財源「第2次補正予算で支援は可能」

燃料価格の負担軽減策の財源については、「令和4年度の第2次補正予算で措置された予算額で支援は可能であり、予算額を積み増すことはしない」と述べました。

また、今回の負担軽減策の期限について、「新たな経済対策を検討する中で出口なども考えていく」と述べました。

「市場原理との両立を図っていく」

岸田総理大臣は、記者団が、「補助が続くことで市場原理がゆがめられ、脱炭素の施策にも反するという指摘もある」と質問したのに対し、「国民生活や全国の中小企業、零細企業の事業を守ることが政治にとって最も大きな責任だ。指摘の点ももちろん大切な課題であり、対策をまずは講じた上で、今後の経済対策などの議論で大きな流れについても考えていくことで、しっかり両立を図っていく」と述べました。

ガソリンなど小売価格抑える対策に6兆円超

政府はガソリンなどの小売価格の上昇を抑える異例の対策に、これまでに6兆円を超える巨額の予算を計上してきました。

この対策はガソリンなどの小売価格が一定の水準を超えた場合に、石油の元売り会社に補助金を出す仕組みです。

対策が始まった去年1月からこれまでに、補正予算や予備費で合わせて6兆2053億円が計上されました。

これは国の当初予算の公共事業費に匹敵する規模です。

このうち、ことし3月までに執行されなかった3兆222億円が今年度に繰り越されました。

ことし4月以降は、小売価格が落ち着いたことや、補助金が段階的に縮小されたことから、繰り越されたうち2兆円ほどが残っているということで、対策の延長や拡充に必要な財源にはこの予算を活用する方針です。

政府は電気や都市ガスの料金の高騰を抑える対策についても、去年12月に成立した昨年度の第2次補正予算で3兆1074億円を計上しています。

国民生活の負担を抑えるためとして巨額の予算が投じられた形ですが、歳入の3割を国債に依存する中、財政規律との兼ね合いが問われることとなります。

ガソリン負担軽減策の詳細は

政府の燃料価格の負担軽減策は、ガソリンの小売価格が基準とする価格を超えた場合、その超過分の一部を補助する仕組みで、9月7日から始まります。

具体的には、レギュラーガソリンの場合、小売価格が1リットル当たり168円から185円までの部分と185円を超える部分でそれぞれ補助率が変わります。

このうち、185円を超える部分は9月から12月まで全額を補助します。

一方、168円から185円までの部分は
▽9月はその30%を
▽10月から12月まではその60%を補助します。

これらの措置で政府は、過去最高となったガソリンの小売価格が、10月中には175円程度の水準に抑えられる見込みだとしています。

また、今回は、電気とガスの負担軽減策についても、9月から適用する補助額を12月の使用分までそのまま延長することになりました。

電気料金では、1キロワットアワー当たり
▽家庭向けでは3.5円
▽企業向けでは1.8円の補助を続けます。

一方、都市ガスは、家庭や年間契約量が少ない企業を対象に1立方メートル当たり15円の補助を続けるとしています。