このうち、中国共産党系のメディア「環球時報」は30日の社説で、日本国内で中国の国番号で始まる嫌がらせの電話が相次いでいることなどを日本政府が非難していることについて、「日本を中国にいじめられる被害者に仕立て上げ、同情を買おうとしている」と主張しました。
その上で「この問題の本質は両国間の争いではなく、日本が全人類に危害を及ぼす悪事を働いたことにある」と強調し、強く反発しています。
環球時報は29日も「日本が卑劣な手段で逆ギレしている」と題した社説で「日本が国際世論にうその情報を大規模かつ集中的にばらまき、無責任な行為を覆い隠した上に、正当性まで求めている」と批判していました。
中国では、メディアが厳しく統制されていることから、当局の意向を受けているとみられますが、これまでのところデモなど、大きな抗議活動は起きていません。
ただ、来月には▽3日に中国政府が定めた「抗日戦争勝利記念日」が、▽18日に満州事変の発端となった柳条湖事件が起きた日などが続くことから、現地の日本人社会では警戒感が強まっています。

中国メディア 処理水めぐり 日本への批判を連日報道
東京電力福島第一原子力発電所にたまる処理水を薄めて海に放出する措置をめぐり、中国メディアは連日、新聞やテレビなどで日本を批判する報道を続けています。
中国の垂日本大使 日系企業の代表と意見交換
北京に駐在する日本の垂秀夫大使は29日、処理水の放出をめぐり、中国で事業を行う複数の日系企業の代表と意見交換を行いました。
北京の日本大使館によりますと、意見交換では、垂大使が処理水の放出をめぐる日中関係の現状などを説明したということです。
企業側からは、処理水の放出に対する中国国内の反応によるビジネスへの影響について懸念が示され、垂大使は、問題が起きた場合は大使館にいつでも連絡してほしいと呼びかけたということです。
中国では処理水の放出以降、日本産の水産物の輸入が全面的に停止されたほか、一部の日本の商品を買わないよう呼びかける動きも見られています。
日本大使館は今後も日系企業への聞き取り調査を行いトラブルがないかなど、情報収集を続けることにしています。
中国 “措置は正当で合理的で必要なもの”
処理水の放出をめぐり、中国が日本産の水産物の輸入を全面的に停止するなど反発を強めていることを受けて、日本国内では、WTO=世界貿易機関への提訴も検討するよう求める意見が出ています。
こうした動きについて、中国外務省の汪文斌報道官は30日の記者会見で、「日本政府が『核汚染水』の放出を強行した身勝手で極めて無責任な行動に対し、国際社会は、みな批判し関連する防止措置をとっている」と述べました。
そのうえで、「中国の担当部門が、中国の法律とWTOの関連する規定に基づいて原産地を日本とする水産物に対し緊急の措置をとったのは完全に正当で合理的で必要なものだ」と述べ、日本の水産物に対する輸入停止措置の正当性を主張しました。
外務省に中国から電話500件
外務省の小野日子外務報道官は記者会見で、今月25日から29日までの間に外務省の代表電話に、中国の国番号から発信された嫌がらせの電話が、およそ500件かかってきたことを明らかにしました。
電話の件数は減少傾向にあるということです。
小野外務報道官は「極めて遺憾で憂慮している」と述べました。